「アンサングヒーロー」を讃えよう

 組織やチームを支える非常に重要な役割を担う人たちを指して、「アンサングヒーロー」(Unsung Hero)という言葉も使われるようになりました。

 具体的には、マイクロソフトで「称賛されない英雄たちを称える」という社内企画をしたり、社内表彰制度に非マネージャー層や裏方の仕事を称えるカテゴリが設置されたりしました。また、社内SNSで称賛の投稿を促したり、社内表彰イベントで裏方の努力を共有したりすることで、「Thanks!」(感謝・賞賛)を送り合う文化が根づきはじめ、アンサングヒーローが可視化されたのです。

 こうした文化がもたらすインパクトとして、各メンバーのモチベーションは上がり、組織全体のパフォーマンスが向上します。他部門への関心や理解が深まることで、いわゆる「サイロ化」(タコツボ化)の解消も期待できるでしょう。

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 多様な人材の活躍が評価される文化を醸成することができ、組織の風通しががぜんよくなっていくのです。

 カーネギーは、『人を動かす』のなかで、人を動かす三原則のひとつとして「重要感を持たせる」、つまり「心から相手を重要な人物と思わせる大切さ」を説いています。

 相手に本物の関心と敬意を持ち、相手に「自分は重要な存在だ」と認識してもらうのは、結果的に人を動かすための普遍的な原則だとする教えです。

 人というのは、自分にちょっとした関心が注がれるだけでも、行動する契機となります。

 目立たないけれど、重要な役割を果たす人を評価し、可視化するのが、マネージャーの重要な仕事のひとつです。

The Giver 人を動かす方程式

澤円

文藝春秋

2026年1月15日 発売

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