このシステムによって、元ぼったくり店のオーナーは、複数の店舗で日々数百万円単位の純利益を得ることができたという話もある。日払いで支払われる従業員やホステスの取り分を除けば、残りはほぼ利益。警察への賄賂や細やかなコネクションを駆使することで、摘発のリスクを最小化していたのも特徴だ。

台湾系ネットワークと違法風俗の影

 また歌舞伎町には、台湾系ネットワークと呼ばれる組織的な業者が入り込んでいるのもよく知られている。違法風俗業との結びつきが強いのだ。ネットワークで、個室ヌードやファッションヘルス、プチぼったくり店を運営し、キャッチやポン引きを巧みに使って利益を最大化してきた。法的なグレーゾーンを狙い、営業停止や店名変更を繰り返しながら、数十店舗単位で事業を拡張してきた歴史がある。

 台湾系はただ資金力があるだけではなく、従業員教育や集客ノウハウ、警察との関係構築に長けていた。

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 客を選別し、クレジットカードを持つ層を重点的に狙うなど、効率的な搾取システムを確立していたのである。この手法を駆使し、表面上は華やかな歓楽街の裏で、違法かつ巧妙な経済圏が形成されている。

 歌舞伎町のぼったくりは、隣接するゴールデン街にも波及している。

 ゴールデン街は本来、個性的な小規模バーが集まる文化的空間だったはずだが、歌舞伎町から流れた悪質店やキャッチが影響を及ぼし、いまでは違法性やぼったくりの問題が散見されるようになっている。店の一部は女装者や個性的なマスターが経営しており、過去には著名人が訪れたことも伝えられるが、料金体系は同様に高額で、常連客が減少する傾向もある。ただしゴールデン街でのぼったくりは、歌舞伎町ほど組織化されてはいない。もっとも個人店同士の価格競争や顧客の取り合いによって、自然発生的に強引な徴収行為が生まれることもある。結果として、街の文化的魅力と違法性が微妙に交錯する複雑な状況が続く。いずれにしても、歌舞伎町はさまざまな形のぼったくりと深く絡み合いながら今日も蠢いている。

シマウマに忍び寄るハイエナのように

 この街のぼったくり店は、客の心理を巧みに利用する。アルコールが入り、性欲が高まり、判断力が鈍る状態を見計らって接近する様子は、野生のハイエナがシマウマに忍び寄るかのようだ。通行人は、雑居ビルの暗いスナックや個室型の店舗に誘い込まれ、脅しや理詰めによって料金を吸い取られる。店内でのやり取りのなかで、強面の用心棒や熟練のホステスによる心理的圧力も加わり、彼らに抗うという選択肢は少しも残らない。

 それでも、街の魅力は衰えない。非日常を求める人々、異文化的な体験を楽しみたい層、単に好奇心から足を運ぶ観光客が絶えず訪れる。これが、歌舞伎町におけるぼったくりが長年存続してきた最大の理由かもしれない。

 近年、警察や行政は歌舞伎町の違法営業やぼったくりに対して監視を強化している。ただし、摘発の対象となった店舗は営業停止や閉店に追い込まれる一方で、新たな店名で再オープンする例も少なくない。台湾系ネットワークや地元の業界関係者は、摘発や行政指導を避けるため、巧妙な手法を駆使して営業を続けている。こうした状況は、歌舞伎町の特殊な経済圏を維持する要因となっている。