「トキよりも共感が集まりやすい」もうひとりのヒロイン
そんな円井に与えられたサワは、橋爪が「トキのアナザーサイドのような生き方。もう一人のトキみたいです」(※2)と語る重要な役。特に第16週から第17週にかけては、サワにフォーカスが当てられた。ヘブンと結婚し、長屋生活を脱出したトキ。生活水準が上がり、新聞にも私生活が取り上げられたことで、松江の有名人に。
第17週の副題「ナント、イウカ。」は、そんなトキに対するサワの心境を言い表している。シンデレラストーリーを歩むトキへの嫉妬心、幼い頃からの親友と住む世界が隔たれたことへの寂しさ、心から祝福してあげられない自分を情けなく思う気持ち。ひとことでは言い表せない混沌とした感情を、混沌としたまま提示する円井から目が離せない。それは多くの人が味わったことのある感情であり、もしかしたらトキよりも共感が集まりやすいキャラクターなのではないだろうか。
円井わんの芝居が“脚本を変えた”
「女子が生きていくには身を売るか、男と一緒になるしかない」と言われる時代に抗い、誰にも頼ることなく、自分の力で幸せを掴み取ろうとしてきたサワ。しかし、そんな彼女にも恋の予感が。東京で教師をしていた松江出身の庄田(濱正悟)に正規の教員試験の勉強を教わることになり、頑なだったサワの心に少しずつ変化が現れる。微笑ましいやりとりが続いたが、庄田と結ばれてサワが幸せになるという安易な展開にはならなかった。
サワの今後については、本命と、その対極にある展開が用意されており、最終的に後者が選ばれたそう。そのきっかけは円井の芝居にあり、橋爪は「円井さんの芝居を見ていたら、『そうはならないよね、サワって』と、むしろ我々が気づかされたというか。サワが生きている姿を見て、最初に思っていたキャラクターとは違うかたちで脚本を書き進めました」と語っている(※1)。
物語の展開を左右するほどの影響力を持った円井の芝居。歴代の朝ドラでヒロインの親友役を演じた役者はブレイクするケースが多く、『虎に翼』で寅子の親友・花江を好演した森田望智に至っては、2027年前期放送の『巡るスワン』でヒロインを演じることが決まっている。円井もいつかヒロイン役で朝ドラに帰還するのではないかと期待せずにはいられない。
参照
※1 https://realsound.jp/movie/2026/01/post-2284710.html
※2 https://www.cinematoday.jp/news/N0152905


