「全身真っ赤で金髪の…」

 安藤からすると、カズレーザーとはそれまで何の接点もなく、「全身真っ赤で金髪の、気持ち悪い男がいる」ぐらいの認識だったという。「コンビを組みません?」と言われたときも絶対無理だと思い、引退するからと断り続けるも、向こうはあきらめなかった。一度きちんと場を設けようとファミレスで話し合い、30歳過ぎての再スタートはきついなどと話をしたのだが、彼は「ハイハイ、わかりました。じゃあ、ちょっとドリンクバーへ行ってきまーす」と適当にあいづちを打って煙に巻くばかり。あとから思えば、それは彼の作戦だった気がするという。その後も日を改めて同じようなやりとりを繰り返した末、彼女がとうとう根負けした。

メイプル超合金は2012年結成(事務所HPより)

 こうして2012年にメイプル超合金を結成したものの、すぐに人気が出たわけではない。2013年と2014年には、当時コンテスト形式だった『THE MANZAI』(フジテレビ系)に出場するもいずれも2回戦敗退で、特番として放送される決勝戦に出るどころではなかった。それでもあと一歩と信じながら、相方がネタを書く傍ら、ライブのブッキングをして出演し、夜勤のバイトもこなして少し寝ると、夕方からオーディションを受けたりネタ合わせをしたり……という日々を送る。周囲の芸人にはあまりに過酷に見えたのだろう、「なっちゃん死ぬんじゃねえ?」と言われていたらしい。当人はネタをつくらねばならない相方のほうが大変だろうなと思いつつも、必死だったのはたしかで、ブレイクするまで大好きなバイクを断つと神社で願掛けもしている。

 ライブの観客も当初は2人の見た目のインパクトに驚き、どちらがツッコミでボケなのか混乱したらしい。それがしだいに、カズレーザーがずっとボケて、安藤はツッコミに徹したスタイルがウケるようになり、本人たちも客席の反応を見て気がついた。見た目とまったく関係ないことをやるという意外性が客を惹きつけたようだ。

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M-1決勝進出で人生が一変

 2015年、若手漫才師の日本一を決めるM-1グランプリが一時休止から5年ぶりに復活、メイプル超合金もエントリーすると、いままで以上に自分たちを追い込み、毎日ライブに出てはネタに磨きをかけた。その結果、決勝進出を決め、結果こそ7位だったとはいえ、放送を観た多くの人々に強烈なインパクトを残す。翌日からスケジュールがびっしり入り、多忙な日々をしばらく送ることになった。