介護現場でのエピソードの数々は、2024年に出版した著書『介護現場歴20年。』収録の「まめこ」によるマンガで描かれ、印象深いものも多い。たとえば、夜間の訪問介護をしているころ、巡回先のある認知症の男性の家に、待機時間中に手すさびにつくった折り鶴を何気なく置いていくと、翌週、再び訪れた際、男性の折った大きな鶴が、その人の家族が安藤に宛てた御礼の手紙とともに置かれていた。家族もまさか父親が鶴を折れるとは思ってもいなかったという。彼女のしたことが思いがけず相手の心を動かしたようだ。
メイプル超合金がブレイクして以降、安藤は現場から遠ざかったものの、メディアなどで介護に関する仕事が増えるにともない、介護業界の“広報”みたいな役割ができたらと考えるようになったという。そんな時期、介護福祉士実務者研修を受けられる会社と仕事したのを機に、週1回スクールに通い、すきま時間も使って勉強を重ねながら国家試験を受けるのに必要な研修を受け、みごと資格を取得したのだった。
介護現場で子どもたちが教えてくれたこと
子供の頃から介護の現場ですごしてきた経験は、安藤の人生観にも少なからず影響を与えているようだ。あるインタビューでは、《特に知的障がいのある子どもたちは“直球”でした。/イヤなものはイヤ。楽しいときは楽しい。ほかの人の影響は何も受けず、自分の気持ちを真っすぐに表現するところが本当に純粋なんです。個性的で、一緒にいてとても楽しかった。「人と比べてどうか」なんて、ささいなことなんだと思いました》と語っている(『PHP』2020年7月号)。
メイプル超合金を結成したばかりのころは、ネタのなかで安藤のルックスをカズレーザーがいじったりもしていたらしいが、先述のようなスタイルを確立してからはやらなくなった。それでも、2人がまったく異なる個性を持っていることはお笑いコンビとして大きな武器だ。カズレーザーのボケも、安藤が泰然とした態度でツッコミを入れてこそ活きる。そんなふうに彼女が堂々としていられるのは、介護現場での経験から他人と自分をけっしてくらべない生き方を貫いてきたゆえなのかもしれない。

