「五輪に魔物はいるのか?」
――宮原さんは平昌五輪で4位に入賞しています。やはり五輪は特別な大会でしたか?
宮原 そうですね。もちろん世界選手権やグランプリファイナルなども一つ一つ大事な大会で、緊張しましたけど、五輪は気持ちの持って行き方がまたひとつ違いました。出場する各国のメンバーはほぼ変わらないのに、皆、いつもと違う顔つきになっている。
――他の国際大会と、五輪の大きな違いはなんなのでしょうか?
宮原 やっぱり、4年に一度しか開催されないということでしょうか。それに、自国を背負っているという責任やプレッシャーが大きかったですね。
「五輪でいい演技をしたい」という思いが強すぎて…
――高校の卒論は「五輪に魔物はいるのか?」をテーマにしていたそうですが、実際、”魔物”はいたんでしょうか。
宮原 練習の時に感じました。30分しかないから動かないといけない、でもやり過ぎてもいけないし、と焦ってしまって。「五輪でいい演技をしたい」という思いが強すぎて、正常な判断を失いそうでした。「これが魔物と戦うってやつかな」と思っていましたね。
――でも、五輪ではのびのびと滑っていましたよね。
宮原 そうなんです。いざ本番を迎えたら、「今自分は五輪の舞台に立ってるんだ」と嬉しさが込み上げてきて、夢のようで、本当に楽しかった。ショートもフリーもワクワクしながら滑ることができました。
だから、五輪に魔物なんていないんです、本当は。いつの間にか自分で作り上げたプレッシャーの塊が、魔物の正体なんだと思います。
私は緊張しそうになるとビジュアライゼーション(可視化)をやっていました。どんな大会であれやることは一緒で、同じウォーミングアップ、同じ練習をして体が動くことを確認し、氷上でも同じことをやるだけ、と自分に言い聞かせていました。
試合に向かう前には部屋で、名前を呼ばれるところから点数が出るまでの過程をビジュアライゼーション。いわゆる、イメージトレーニングみたいなものです。
今回出場する選手たちも、これまでやってきた自分を信じて、のびのびと臨んで欲しいです。
撮影=細田忠/文藝春秋
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