理学療法士として病院勤務をしていた奥山まめ。しかし、職場での陰湿ないじめに遭い、逃げるように退職した彼女が次に選んだ道は、カメラマンだった。最初にレンズを向けたのは、元ダンサーである夫の「ヌード」だったという。

 身体の仕組みを知り尽くした彼女がたどり着いたのは、「ラブホ女子会」プランを利用した撮影会。「男性カメラマンだと緊張する」という風俗嬢たちの支持を集め、コンプレックスさえも魅力に変えていく。

 元医療従事者はなぜ、夜の世界で輝く女性たちを撮るようになったのか。フリーライターの山田厚俊氏による『風俗カメラマン「姫」を輝かせる者たちの世界』(草思社)の一部を抜粋し、紹介する。

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ラブホ女子会撮影の新星・奥山まめ

 驚きの転身人生を歩んできた女性風俗写真家を紹介しよう。この取材では唯一、夫婦揃ってのインタビューである。

やさしさ溢れる夫のサポートが奥山まめを輝かせる

 奥山まめは、つい数年前まで風俗とは全く関係のない仕事に従事していた。大学で資格を取得し、卒業後に理学療法士となった。理学療法士とは、病気やケガ、加齢などによって身体の機能が低下した人に対し、運動療法や物理療法を用いて日常生活を送るためのサポートをする専門職のこと。要は、歩けるようになるためのリハビリテーションを行うなどの仕事だ。

 2017年、まめはたーきーと出会う。たーきーは当時、介護職員をし、トレーナーや整体師の活動も行っていた。共通の知り合いである男性理学療法士を通じて、会うこととなった。当初、話を持ちかけられていたまめはなんとなく苦手意識があり、会うのを躊躇していたが、会ってみるとまめの一目惚れだった。付き合って1年で結婚した。

 順風満帆の新婚生活かと思いきや、まめには悩みがあった。約9年間働いていたものの、職場での陰湿ないじめ、パワハラなどを受け続け悩んでいたのである。たーきーは語る。

「結婚するまではさまざまな仕事をしていましたが、あまり安定していなかった。それが結婚を機にリハビリ特化型の施設で正社員として採用された。それでも低い賃金で、妻に助けてもらい続けていました。職場環境が改善しないなかで苦しむ妻を見て、『つらかったら辞めてもいいんだよ』と話をしました」