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――日本の防衛産業は、アメリカからの輸入品にどう対応しているのですか。

新浪 例えば、イージス艦の中核機能はブラックボックスになっています。機密性の高いイージスシステムの部分はアメリカから持ってきて、それ以外の部分は日本の防衛メーカーがつくっています。でも、結果的にコストは高くなる。戦闘機にしても1機つくるのに、通常の1.5倍はかかるのです。ですから、アメリカに全部頼っていいのかという話になる。

 アメリカの対日赤字を埋めるためには、アメリカ車を売るという話もありますが、現実的ではない。結局、防衛装備品しかないのです。今、配置が議論されているイージス・アショアなどは、日本がつくる部分はほとんどありません。

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中国といかに付き合うかそれが交渉カードになる

©鈴木七絵/文藝春秋

――今後の日本の防衛産業はどうなるのでしょうか。

新浪 やはり日本は独自の技術を徹底的に開発するしかないでしょう。例えば、日本のメーカーが開発した炭素繊維は、飛行機を軽量化するための欠かせない技術です。これがなければアメリカの戦闘機は能力を発揮できません。そうした日本に頼らざるを得ないような技術をいかにつくり上げるかが重要なのです。

 そのためにも、成長戦略の中にR&Dの強化を入れるべきでしょう。R&Dは薄く広くではなく、重要な分野に集中する必要がある。こうしたことを内閣府の総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)が諮問し、総理が決めていくべきなのです。

首相官邸HPより

――今の安倍首相とトランプ大統領の関係性が続けば、結局、アメリカの言い分を全部聞いて、日本の財政負担は増えてしまう。そうした懸念についてはいかがですか。

新浪 だからこそ、中国との関係が非常に重要になってくるのです。実際、中国との関係は少しずつですが、改善の方向へ向かっている。日本はアメリカだけでなく、中国にもきちんと手を打っているのです。そのあたりは評価できます。アメリカも日本と中国が対立することは望んでいない。中国とうまく付き合えば、いざというときのカードにもなるはずです。

取材・構成=國貞文隆