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2018/08/10

安部公房がずっと好き、大江健三郎は最近好き

 密着取材中、齋藤のテンションが一番上がったのは、雑誌の写真撮影で小道具に使った本をチェックしていると、編集者から、気に入ったものがあれば差し上げますと言われたときだ。このとき齋藤が選んだのは『現代日本文学大系』の「石川淳・安部公房・大江健三郎集」。安部公房はずっと好きで、大江健三郎は最近好きになったという。番組では書店で本を選ぶ様子も出てきて、伊藤計劃の『虐殺器官』などを手に取っていた。《現実で生きててモヤモヤすることのほうが多い気がしていて、だから本にスッキリを求めていないというか。考えるのがすごい好きなんで、たぶんモヤモヤして考えたいんでしょうね》というのが彼女の読書観らしい。

10月公開『あの頃、君を追いかけた』でヒロインを務める

 番組放送後の雑誌インタビューでは、本棚があまり好きではなく、《本は床に積むか、ダンボールのなかです》と語っている(『BRODY』2018年4月号)。並んだ背表紙のタイトルを見られるのが、自分の脳内を覗かれているようで恥ずかしいからだとか。

「女優に敵わない」って誰が決めるの?

 同じインタビューでは、「アイドルは楽しいか?」との質問に次のように答えた。

《アイドルっていろいろやるじゃないですか。モデルをやって、でも「本当のモデルさんに敵うほどじゃないな」って言われるし、お芝居をやって「まあ、女優さんには敵わないよな」って言われがちじゃないですか。それはすごく面白いな、って思います。

(中略)悔しさもたぶんあるとは思いますけど……でも、本当の女優さんに敵っているか敵っていないかどうかは、誰が決めることなの?って》

 他人の否定的な発言も「面白い」と思えるのが、いかにも独特だ。ネガティブなことをネガティブなままとらえながらも、それを楽しむすべを齋藤は身に着けているようだ。

 この10月には出演映画『あの頃、君を追いかけた』の公開を控える。共演相手には山田裕貴や松本穂香ら若手注目株の俳優がそろうが、そのなかで齋藤はいかに才能を発揮するのか……なんてことは気にしなくていいかもしれない。そう、俳優に敵っても敵わなくても、彼女はその場その場をきっと面白がりながら演技しているはずだから。