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芙蓉館に集まった女性たちは、将校たちの性処理の相手をしながら、現地妻として愛人生活を送るが、やがて別れる日が訪れる。このとき、カラダを売ることを覚えた女性のなかには、メリーと同じように生活のため路上売春を選択する者も少なくなかったことだろう。問題はどこに立つかなのだ。
交縁のもうひとつのルーツは…
彼女たちの目と鼻の先では、旭町のドヤ街を根城にした街娼たちが、夜な夜な路上に立ち、客を引いていた。捨てる神あれば拾う神あり、とはよくいったもので、彼女たちのなかに手近な新宿の街娼へと流れていく者も少なくなかったのではなかろうか。そうでなくとも、芙蓉館で働きながら、その日に進駐軍の客がつかなかったときは、付近の路上に立つ女性がいた可能性も高い。
そして彼女たちは、数多の街娼たちとまざり合い、やがて街娼の多さが評判になり、どこの誰ともわからぬ女性たちが春を売るために集まってくる新宿の売春エリアが形成されていった――以上の見立てが確かならば、交縁のもうひとつのルーツはRAA「芙蓉館」にあったことになる。