キャリアウーマンのマイコさんが独身者限定アプリで出会った男。ふたりの将来をほのめかすその人は、実は妻子がいる既婚男性だった。貞操権侵害で訴訟を起こし「独身偽装被害者の会」を立ち上げると、続々と相談が――。(2月11日配信「週刊文春 電子版」《実録ルポ 独身偽装》第1回より一部をお届けする)

決して慰謝料が目当てなのではなく…

「週刊文春 電子版」で2月11日からスタートした短期集中連載《実録ルポ 独身偽装》

 2024年10月、マイコさんは貞操権侵害を訴え、損賠賠償を求めて提訴。2025年12月、東京地裁は貞操権侵害を認めた。そしてマイコさんの成果給減少も考慮した上で、既婚男性に調査会社への支払いや適応障害の治療費なども含む約151万円の支払いを命じたのだった。

 マイコさんの訴訟の判決がNHKなどのメディアでも報じられたことで、被害者の会のXアカウントのフォロワーはかつての2倍に増えた。

NHKでも報じられた(NHK ONEより)

「独身偽装の被害者で、任意交渉中だった女性から、『相手が慰謝料を100万円から300万円に増額してきた』という連絡がありました。被害者の会のアカウントや報道を知って、慌てて金額を上げてきたようです。私たちは決して慰謝料が目当てなのではなく、相手の貴重な時間と気持ちを踏みにじる加害者に猛省を促したい。その意味で、そうした連絡を受けて、初めてこの活動で誰かのためになれたという実感がありました」(マイコさん)

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 マイコさんのもとに寄せられた反響の多さは、それだけ世間に独身偽装が溢れていることの裏返しでもある。中には、相手との子供を妊娠した後に既婚者と判明したケースや、加害者の妻から不貞行為で損害賠償を求められるケースもあった。だが、彼女たちはこれまで日の目を見てこなかった。

「被害者の中には、行政の性被害相談窓口に相談したら『性被害? その時は同意してたんでしょ。早く忘れて自分磨きしなさい』とあしらわれた女性もいました」(同前)

 マイコさんを突き動かすのは、「騙された方が悪い」という風潮を変えたいという思いだ。

「私は裁判で通常より高額な慰謝料を認めてもらいましたが、それでも加害者が受ける報いは軽すぎる。たとえば結婚詐欺は詐欺罪が成立しますが、独身偽装には適用されません。法改正などで、民事だけでなく刑事でも処罰できるようにしてほしいと思っています。被害者の方には、泣き寝入りをしないでほしい。そして社会全体が『独身偽装を許さない』という意識に変わってほしい」(同前)

 一人の女性の信念が、社会にうねりを起こしつつある。

《マイコさんと男性の交際4カ月間に起きていた衝撃の出来事、裁判での男性側の驚きの言い分など「実録ルポ 独身偽装」第1回の記事全文は現在配信中の「週刊文春 電子版」で読むことができる。また2月18日からは連載第2回も配信している》

次の記事に続く 《やがて避妊をしなくなり…》博報堂社員の卑劣な“独身偽装”にネットの反応「なぜ既婚者が独身と偽って遊びたいのか?」「泣きを見るのは社会的な損失」