「いいスキップって、最後にドローを決められる選手だよね」
吉村はジュニア時代からスキップで、常に自分が最終投を決めて勝ってきた。昨年の日本選手権も、日本代表決定戦も吉村のウィニングショットでチームは前に進んできた。当然、勝てない時期もあった。練習で成功しても、本番では決まらない。海外の難しいアイスに対応できない苦しい時間も短くはなかった。
「ショットが決まらない自分に失望したり『これ以上、伸びないんじゃないかな』と不安になったりしたことはあります」と明かしてくれたこともある。
それでも一度も彼女がチームメイトを責めたり人のミスをあげつらったりしたことはない。カーリングには「勝利はチームのもの、敗戦はスキップのもの」という格言めいた言葉があるが、吉村もそれを地でいくタイプだ。
そんな吉村に小林が最近、よく話をするのは理想のスキップ像についてだという。
「いいスキップって、やっぱりチームを勝たせるために最後にドローを決められる選手だよね、と紗也香と話してます」
そのドローがこの五輪で決まらない場面もあった。だからこそ、小林は渾身のドローを待っている。
「ハウスは石でひしめき合っているんだけど、空いている2フィートくらいの隙間にピタッと決めるドローが見たいですね」
石垣が再会を心待ちにする6月の日本選手権
石垣は五輪を戦い抜いた吉村との再会を心待ちにしている。6月の横浜だ。石垣は山中湖をホームとするGRANDIR(グランディール)でプレーしているが、先月、関東選手権で優勝して日本選手権出場を決めた。しかも今季、彼女はフォースを担当していて、吉村とは日本選手権で投げ合うことになる。
「フォースをやらせてもらって、『さやってすごかったんだ。こんな緊張する中でずっと決めてくれてたんだ』と今さらながら強さと彼女への感謝を感じています。日本選手権で投げ合うのは楽しみですけれど、手強いでしょうね。さやが強い選手だというのは私がいちばん知っているので」
五輪も残り2試合。師が願うドローを決めて、友の待つ次の舞台へ。日本のエースの戦いはまだまだ続く。
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