日本の誇る名優・柄本明が、映画『レンタル・ファミリー』で世界へ本格進出した。主演は『ザ・ホエール』でアカデミー賞®主演男優賞に輝いたブレンダン・フレイザー。日本人監督HIKARIのもと、全編日本ロケを敢行し、国境を超えたコラボレーションが実現した話題作だ。

 今村昌平監督『カンゾー先生』など、数々の映画・テレビドラマなどで活躍する柄本。2025年10月、ロンドン映画祭のプレミア上映ではレッドカーペットを歩いたが、その直前、日本とイギリスをつないで実施したインタビューで率直な心境を話してくれた。

柄本明

「なんで今、ロンドンにいるのかよくわからないんですよ。今朝こっちに着いて、ずっとホテルにいるもんだから、時差ボケもあるし、外の様子もよくわからなくてね」

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 英語の台詞も多い本作は、いわば柄本にとって新たな挑戦と言えそうな作品だ。しかし、出演を決めた理由を尋ねても「特にないんですよ」と笑う。「選んでいただけたからやった……そう言うとそっけなく思われそうだけど、常にそういう仕事ですから」

 77歳の“国民的俳優”に、本作への取り組みと仕事術を聞いた。

“年老いて衰えた大物俳優”に挑戦

 物語の主人公は、東京に暮らすアメリカ人俳優フィリップ(ブレンダン・フレイザー)。生活のため、他人の家族や友人を演じる“レンタル家族”の仕事を始めることで思わぬ人生の喜びを見出していく。

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 柄本扮する偏屈者の大物俳優・長谷川喜久雄は、“外国人記者”として現れたフィリップの取材を受けることになる。年老いて体力は衰え、世間から忘れられつつある喜久雄だったが、やがて生まれ故郷の天草に行きたいと申し出て――。

「長谷川喜久雄という人は、きっと映画界に燦然と輝く大スターだったと思うんですよ。僕はアングラ演劇の出身なので、そこは大きく違うところです。長く芝居をやっているのは同じなので、気持ちがわかる部分はありましたが」

 1976年に「劇団東京乾電池」を結成して以来、映画・テレビ・舞台などメディアを問わず活躍してきた。歳を重ねてなお、あまたの作品にハイペースで出演を続けているが、いつかハリウッド映画に出てみたいという欲望はあったのか。