飲酒の瞬間は会社の防犯カメラやドライブレコーダーには映っていなかったが、鈴木容疑者は事故前から200ミリリットルの焼酎を10秒程度で飲み終えていたとして、カメラの死角などで焼酎を飲む機会は十分あったと判じた。
そして事故当時の様子については、「高濃度のアルコール」を体内に入れていたとして、「車の運転に重要な分割注意能力や判断能力を司る前頭葉の機能が強く抑制・障害された状態だった」と認定した。
車AとBを誤認
判決は時速90キロで中央分離帯に衝突して事故を起こした状況も詳細に検討した。
事故前に時速70キロで運転中に急ブレーキで停止した点について、「注意力や反応速度が低下していた」と認定。
さらに、割り込んできた車Aに怒りの感情を持ちながら、その後に現れた車BをAと誤認したとも認定した。
色が同系である以外、車高や形は異なっているにも関わらず、AとBを誤認した事などから、判決は「被告人の認知、判断能力が大きく低下していたことを強く疑わせる」と判断している。
常軌を逸した行動
そして事故直前に時速90キロで減速もせずに中央分離帯に向かった走行について、「自らの生命への危機意識すら欠落したともいうべき常軌を逸した行動に出ている」と指摘。
「このような常軌を逸した行動に出た要因について、アルコールの影響があったとしなければ説明が極めて困難」と判断した。
以上の事から、アルコールの影響により、正常な運転が困難な状態であった、つまり危険運転致死傷の罪に該当する認定したのだ。
なぜ上限の20年となったのか
裁判所は量刑を判断するに際し、2歳の幼児を含む3人の尊い命を失わせた被害について「極めて甚大」と断じた。何の落ち度もなく亡くなった方の無念や、残された遺族の悲嘆にも寄り添い、「厳しい処罰を望むのは当然」とした。
その上で、「飲酒をしたいという身勝手な欲望のままに」飲酒運転を繰り返し、事故を起こしたことについて、「起こるべくして起きた事故」と認定。「あおり運転・威嚇行為をしたことで本件事故を起こした経緯にはより一層の非難が向けられるべき」と厳しく断じた。
さらに、血中から高濃度アルコールが検出されているにも関わらず飲酒を否定し続けた事を「自らの犯した罪に真摯に向き合って反省しているとは言いがたい」と断じ、「法定刑の上限から刑期を減じる程度の事情があるとは評価できない」として、危険運転致死傷の罪の上限である懲役20年を言い渡した。

