さらに、ドラマでは「鳩サブレー」が「誰かにもらったお土産」ではなく、「自分のために買うお菓子」として描かれた。世間では「定番土産」のイメージが強かったことから、視聴者にとっても、その衝撃は大きかったようだ。けれど、先入観を持たない若者が、同じように「日常のおやつ」として購入するケースが増えたらしい。
「もともとメインの購買層は40〜60代のお客様で、いただき物のイメージが強かったわけです。それが、ドラマで若い俳優さんが『自分用に買った』というセリフを言うのを見ましてね……。あのシーンはもう、私もびっくりしました(笑)」
そう語るのは、4代目社長の久保田陽彦氏だ。てっきり事前に知っていたのかと思いきや、当事者すら想像しなかったシーンだったとは、驚きである。
鳩グッズがもたらした追い風
翌年には、フジテレビのドラマ『続・続・最後から二番目の恋』に「鳩(キュウ)ホルダー」が登場。すると、放送翌日に本店には長蛇の列ができ、1日で1000個が売れた。
※編集部註:初出時、「日本テレビのドラマ」と表記していましたが、正しくはフジテレビでした。訂正します(2月23日14時8分追記)
同時期に、SNSでも別の鳩グッズがバズっていた。購入者が「鳩サブレー」や鎌倉の風景がなぞり書きできる「鳩型定規」の画像を投稿すると、8万7000件もの「いいね」がついたのだ。
「使い道に困るが欲しい……」
「これで何を書くんだ(笑)」
ネットでは困惑する声も上がっていたが、商品は即完売。再販したところ、今では累計数千個が売れているそうだ。
業績好調な理由はもう一つある。それは、年に1回全社を挙げて行っている、「鳩の日」イベントだ。「豊島屋」では毎年8月10日を「鳩の日」と定め、当日限りの商品を販売している。この限定商品がすこぶる人気で、近年はイベントの認知度とともに、当日売上が急上昇。メディアで取り上げられることも増えた。