再稼働に向けた人員登用

 ――どのようにしてその審査をパスし、再稼働に漕ぎつけたのか。

「九電、大成建設、三菱重工でプラントの耐震性能データなどを収集して原子力規制委員会に報告するのですが、規制委員会がどんどん再稼働のハードルを高めていきました。『阿蘇山が噴火したらどうするんだ』とか、『もっと大きな地震を想定すべき』とか、『竜巻に襲われたときの対応』や『活断層は?』といった質問を投げ返されてなかなか前に進まない。川内の現地に行っている人間からは、『作業が終わると思っていると、さらに基準が上がって作業が増える。今のマンパワーではとても無理です』と泣きが入る始末でした。

再稼働の前提となる安全審査に絡む九州電力川内原発の現地調査で、九電(左側)から説明を受ける原子力規制委員会の委員ら(2013年9月、鹿児島県薩摩川内市)[代表撮影] ©時事通信社

 再稼働の検討会は誰でも参加できるわけではなく、原子力工学の専門家でないと務まりません。むろん新聞広告で採用を募るようなわけにはいきません。それで、急きょ大学の研究室に行って専門家を探させたり、定年退職した電力会社のOBなどに声をかけたりしながら、人を集めました。

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 脱原発が盛んだったあの頃は大学の原子力工学科の人気がなくなっていて、それが幸いした面もあります。たとえば理科一類から本郷の専門課程に進学する東大では、原子力研究分野へ進む学生が激減していました。大学を出ても技術者が職にあぶれるようになり、優秀な人間でも声をかければ採用できました。

 仕事そのものは北海道でも九州でも、どこにいても同じです。耐震性能の解析を必ずしも九州の現場でやる必要はなく、今はコンピューターを使って構造解析するので在宅勤務でもできる。そういう形で、本来なら東電に行くような人を採用し、数十人の技術者が集まりました」

※本記事の全文(約9000字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」に掲載されています(森功「柏崎刈羽原発『再稼働工作』の内幕」)。全文では、以下の内容をお読みいただけます。
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文藝春秋

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柏崎刈羽原発「再稼働工作」の内幕

出典元

文藝春秋

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