徐々に心を開いていく、その変化の過程が保護猫の魅力

 その2年後、同じ団体の譲渡会で、マロンと出会う。

「マロンは5歳で、他の子よりも随分体が大きくて。成猫はなかなか貰い手が見つかりにくいと聞いて、お迎えすることに決めました。ですがやはり警戒心が強くて、最初はあまり姿も見せてくれなくて。みんなが寝静まった後に動き出すような感じでした」

茶がクロエ、黒白がマロン。

 毎日、ケージの前にそっと座って声をかける。ただそっと同じ空間で過ごす日々が続いた。焦らず、相手が心を開くその時をひたすら待つ。それは、結果が出ない中でも腐ることなく、努力を重ねてきた本多の生き方とも重なる。そして1年半が経った頃、いつも通りリビングで過ごしていると、足元にそっとマロンが寄ってきた。

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「思わず息を止めて、動けなくなりました。マロンが自分から僕の膝に乗ってきたのは、それが初めてだったので。心を開いてくれたんだなって……。そんなマロンも今ではすっかり犬のよう。お風呂までストーキングしてきます(笑)」

 

 マロンの左耳は「さくら耳」。地域猫として暮らしながら、避妊手術を受けた印だ。彼女が、再び人間を信じられるようになるまで、ある程度の時間が必要だったのだろう。

「猫って避妊や去勢をした時の年齢のまま性格が止まるって言われてるんです。クロエは生後半年で避妊したので、今も子どものように甘えん坊。朝は僕の枕元に来て“起きてよ”って鳴くんです。一方マロンは子どもを産んだ形跡もあるからか、ご飯をクロエのために残してあげたり、ちょっとママっぽい(笑)」

 

 SNSで保護猫について発信したのも、「誰かが少しでも興味を持ってくれたら」という想いから。

「最初はシャーシャーと鳴いていたのが、お腹を見せてくれるようになったり、その変化の過程が、保護猫の魅力だと感じています。保護猫って、怖いとか、気難しいとか思われがちですけど、それは人に慣れていないだけ。“ペットショップ以外にも選択肢がある”ということを知ってもらうことで、救われる命があったら嬉しいです」