ドイツの椅子はよくできているという話をよく耳にする。ベンツのシートは長時間運転しても疲れない、ICEの座席は硬めだが座り心地がいいといった具合に。たしかに、ドイツの自動車も鉄道車両も皆座席は硬い。だから硬いものがいい、という神話にまでつながっているのであろう。

対して隣のフランスは柔らかい座席が多い。座面も背刷りも柔らかくてホールド性やクッション性が高いのである。ドイツとフランスの椅子メーカーと仕事をする機会があったので、その辺の話をすると、彼らは座姿勢やホールド感についていかに自分たちがお金をかけて研究しているか、という話をとうとうとする。

お互いにこれがベストであるというのである。そこでふと気がついたのが、それぞれの国の平均体重であった。ドイツ人の方が体が大きい=重いのである。

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ドイツの座席は硬くフランスは柔らかい理由

広島電鉄の5100系では運転士用の座席にドイツ製のものを採用したが、疲労軽減のために体重調節機能を持ったダンパー付きとしている。

このダンパーは運転士の体重に合わせて目盛を調節し、それにあった機能を発揮するというものであるのだが、なんと目盛が60kgから始まり、最高は130kgまで刻んである。平均は90kgから100kgとしているのである。

日本人ではそこまで重い人はごく少数であり、通常は一番軽い目盛で十分という。実はドイツのクッションは硬いというのは、重い人を対象としているからであろう。フランス人は日本人と体格が近く、その体重にあわせているので柔らかく感じる。

ただし、座姿勢や体重分散については、よく検討がなされているのは事実で、いったん決めたラインはまず絶対に崩さない。それぞれの事業者向けにカスタマイズするときも、モジュール構成にして組み合わせで作り上げるが座面や背面には手をつけることはない。

第2次大戦後にリクライニングシートが登場

話がそれたが、鉄道車両の座席においてはさまざまな体格や体重の人を考慮する必要があり、デザインの幅もなるべく広げなければならない。よい座席を提供することは永遠の課題であるといえよう。