鉄道車両の座席は、古くは木製であり、現在でもヨーロッパの路面電車に見られる。座布団はともかく、背刷りまでクッションの入ったものとなったのは、1933(昭和8)年度のスハ32形からであったという。
この時代は向かい合い固定の座席がほとんどで、優等車でも向かい合い寸法を広げた固定座席であるか、転換タイプ、またはロングシートのように横向きに座るものであった。
第2次世界大戦後、特別2等車としてアメリカンスタイルのリクライニングシートが登場した。
こうしてその後年月が経ち、座席は進化して新幹線でも最初は転換タイプであったのが、2人がけは回転式になり、3人がけは集団離反型といわれる固定座席になり、そしてついに100系からはすべて回転するものとなっていった。
日本式のリクライニングに足りない点
特急用車両では回転式が必須で、後ろ向きに座るのを嫌がる利用者が多い。面白いことに、これは隣国の韓国でも同じだそうで、フランス方式を採用した韓国の新幹線では固定された後ろ向き座席の指定をすると、特急料金が割引されると聞いた。
日本の鉄道車両用の座席は、戦後の進駐軍との関係からか、アメリカの影響を強く受けているようである。そのためリクライニングも必須であり、背刷りが大きく傾くものが好まれている。
ヨーロッパではもともとがコンパートメントのレイアウトであったせいか、いまだに固定座席が主流であり、回転式はスペインのAVEくらいしか知らない。
ヨーロッパの固定式ではシート配置に向かい合いあり、片方に向いたものが並んでいる部分ありと、かなりランダムなアレンジがされている。また、リクライニングはないものもあり、あっても背刷りが後ろに倒れる日本式ではなく、背刷りの下部が座面と連動して前に出るタイプがほとんどである。
ドイツの鉄道車両用座席メーカーの人たちに言わせると、日本式のリクライニングは一見楽そうだが、背刷りが倒れるだけでは骨盤と背骨の関係が変動し、正しい座姿勢をとることができないものである、という。