「子どもがいないのであれば、仕事を続ける必要はない」仕事を辞めた“きっかけ”

――その後、仕事を辞めることになった経緯というのは。

アキ 不妊治療の終了が、仕事を辞めるきっかけです。43歳以上は不妊治療が保険診療の対象外になるし、妊娠の確率もかなり下がるから、治療の期間は43歳の誕生日までと決めていて。

 43歳を迎えて治療をやめることにしたので、もう仕事を続ける必要はないと思ったんですよね。治療費もかからなくなるし、将来子どもがいないのであれば、安定した仕事をしている必要もないのかなと。夫も仕事を辞めたがっていたし。

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安定した生活を捨てて、退職を決断したふたり

――ふたりでタイミングを合わせて仕事を辞めたんですか?

アキ いや、そういうわけでもなくて。私が不妊治療を卒業して仕事を辞めようと思ったタイミングと、夫が仕事を辞めるタイミングが偶然一緒になっただけなんです。

キンゴツ 今思えば、タイミングが重なって良かったかなと思います。

勧奨退職の対象になったのを“神のお告げ”のように感じて

――キンゴツさんはなぜ仕事を辞めようと決意したんですか。

キンゴツ 郵便局には、勧奨退職という制度があって。定年前に辞めると退職金が上乗せされる制度なんです。

 その制度の対象年齢は、例年50歳以上だったんですよ。私が44歳くらいのときに、一度会社を辞めようと決意したんですけど、50歳まであと6年あるから、そこまで勤めないと退職金が半分以下になっちゃうなと思って、踏みとどまったんですよね。

 でも、私が辞めた年に、対象年齢が45歳まで引き下げられたんです。ずっと辞めたいと思っていたので、その知らせが“神のお告げ”のように感じて。上司に「もう辞めます」と伝えて退職しました。

夫婦で早期退職する道を選んだ

――安定した職や積み上げてきたキャリアを手放すことに、不安や葛藤はありませんでしたか。

アキ 私は仕事を辞めることに抵抗はなかったです。

キンゴツ 私はありましたね。清水の舞台から飛び降りるような気持ちで、「もうどうなってもしょうがない」と思ってました。

 でも一方で、「今まで45年間生きてきた中で、どうにもならなかったことってなかったじゃん」という思いもあったんです。

 29歳までは、安定した職に就いて安定した人生を送るなんて、想像もしてなかった。だから、得たものがなくなったとしても、最初に戻るだけだし、またやり直せばいいじゃんって思えました。