夫に「好きなようにさせてあげたい」と思ったワケ
――アキさんは、キンゴツさんが仕事を辞めることに対して、どのような思いがありましたか。
アキ 本人が楽しくなさそうに仕事をしていたので。本人の気持ちを優先してあげたいなと。
それに私は、ずっと申し訳ないと思ってたんです。夫は最初、不妊治療に賛成してなかったんですよ。彼はそこまで子どもがほしいわけではなかったので。
それでも、私が5年間ずっと不妊治療にまっすぐ向き合っていたのを、彼は仕事という形で応援し続けてくれた。
それをどこかしら申し訳なく思っていたので、「私はこれだけ自分のやりたいことをやらせてもらったから、夫にも好きなようにさせてあげたい」という気持ちでした。
キンゴツ 私たちは子どもがいる人生を想定しながら、人生計画を立てていたんです。でも、子どもができなかった。
だったら、「将来こうしたいよね」って自分たちが思ってたことを、15年、20年前倒ししてやってもいいんじゃないか、と話し合いました。
子どもがいない自分たちの未来
――仕事を辞める際、周囲から反対されたりしませんでしたか。
キンゴツ 私の場合は、ごくごくわずかな友人にしか相談してないですね。当然、親にも自分の中で決定してから「辞める」と言いました。「辞めるけど、どう思う?」という聞き方だと、反対されるのが目に見えてますから。
あと、子どもを持てなかったことが、私たちの中では結構大きくて。親は子どもありきの人生しか知らないじゃないですか。だから、子どもがいない私たちの未来を一緒に考えるのは、難しいだろうなと。
それなら、決定してから伝えたほうが、親にも精神的ストレスが少ないんじゃないかなと思ったんです。
アキ もう誰かに相談して決める年齢でもないですしね。
――とはいえ、無職になって無収入になることへの怖さはあったのでは?
キンゴツ それはすごくありました。
アキ でも、勧奨退職で退職金が上乗せされたことによって、その気持ちはだいぶ軽くなったよね。
上乗せ分で、当時想定していた車を買う資金と、当面の運営資金が捻出できたので。
写真提供=「わたりどり とんだ」
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