夫に「好きなようにさせてあげたい」と思ったワケ

――アキさんは、キンゴツさんが仕事を辞めることに対して、どのような思いがありましたか。

アキ 本人が楽しくなさそうに仕事をしていたので。本人の気持ちを優先してあげたいなと。

 それに私は、ずっと申し訳ないと思ってたんです。夫は最初、不妊治療に賛成してなかったんですよ。彼はそこまで子どもがほしいわけではなかったので。

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 それでも、私が5年間ずっと不妊治療にまっすぐ向き合っていたのを、彼は仕事という形で応援し続けてくれた。

 それをどこかしら申し訳なく思っていたので、「私はこれだけ自分のやりたいことをやらせてもらったから、夫にも好きなようにさせてあげたい」という気持ちでした。

キンゴツ 私たちは子どもがいる人生を想定しながら、人生計画を立てていたんです。でも、子どもができなかった。

 だったら、「将来こうしたいよね」って自分たちが思ってたことを、15年、20年前倒ししてやってもいいんじゃないか、と話し合いました。

2023年11月から2年以上、車中泊生活を続けている

子どもがいない自分たちの未来

――仕事を辞める際、周囲から反対されたりしませんでしたか。

キンゴツ 私の場合は、ごくごくわずかな友人にしか相談してないですね。当然、親にも自分の中で決定してから「辞める」と言いました。「辞めるけど、どう思う?」という聞き方だと、反対されるのが目に見えてますから。

 あと、子どもを持てなかったことが、私たちの中では結構大きくて。親は子どもありきの人生しか知らないじゃないですか。だから、子どもがいない私たちの未来を一緒に考えるのは、難しいだろうなと。

 それなら、決定してから伝えたほうが、親にも精神的ストレスが少ないんじゃないかなと思ったんです。

アキ もう誰かに相談して決める年齢でもないですしね。

――とはいえ、無職になって無収入になることへの怖さはあったのでは?

キンゴツ それはすごくありました。

アキ でも、勧奨退職で退職金が上乗せされたことによって、その気持ちはだいぶ軽くなったよね。

 上乗せ分で、当時想定していた車を買う資金と、当面の運営資金が捻出できたので。

写真提供=「わたりどり とんだ」

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