谷氏に対する高市首相の厚い信頼
高市首相はかつて、「自民党治安・テロ・サイバー犯罪対策調査会」の会長を務めていた。ここに警察庁の幹部をたびたび招き、治安上の課題、各テーマについて分野ごとに説明を受けてきた。当時は警察庁刑事局長として谷氏が何度も自民党本部に足を運び、この会合で警察当局の対応を説明していた。
このような経緯もあり、高市首相は治安対策にもかねてより高い関心を持っていたとみられる。今年2月20日の国会での施政方針演説でも、メインテーマである物価高対策のほか外交・防衛などの主要な政策とともに、「治安・安全の確保にも取り組む」と強調。「AIやドローンなどの新たな技術を悪用した犯罪行為やテロの抑止・対処。『国民を詐欺から守るための総合対策2.0』に掲げた取り組みを着実に実施し、いわゆるトクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)の撲滅を目指す」などと訴えている。
警察庁幹部は、「谷氏は刑事部門を中心に重要な役割を果たすと同時に、官房など幅広くキャリアを積み重ねてきた。法律に精通しているだけでなく、さまざまな課題について対処策を示すなど柔軟に対応できる。優秀なエリートらしく、各施策についてよどみなく分かりやすく説明する能力は高い。しかも、エリート然としたところは全くない。それどころか、謙虚な姿勢で人に接する腰の低さが好感を持たれている。これまでの経緯、実績から政権スタートにあたり高市首相の目に留まったのだろう」と登用の背景事情について説明する。
高市首相が同調査会の会長だった2024年は、関東地方を中心に連続強盗事件が続発した。同年10月には横浜市青葉区で男性(75)が殺害され現金などが奪われる事態となるなど、いわゆる「闇バイト事件」が横行していた。国民の体感治安が極度に悪化したため、高市首相は当時、同調査会会長として「匿名・流動型犯罪グループ」への対策を緊急提言として取りまとめた。
谷氏はこの際に、全国警察の闇バイト事件への対策の司令塔である警察庁刑事局長の立場だった。高市首相が行った緊急提言についても谷氏からの助言を受けており、かねてより信頼を寄せていたものとみられる。
※約5200字の全文では、谷氏以外の警察庁長官候補を紹介しています。全文は、「文藝春秋PLUS」に掲載されています(青山次郎「高市一強で歯車が狂った警察人事はどうなるのか? 『花の平成5年組』本命1人に対抗が3人」)。この他にも、「文藝春秋PLUS」に多数の関連記事が掲載されています。
■本命と対抗〈霞が関コンフィデンシャル・特別版〉
・「すこぶる不機嫌なのが隠せていない」元警察官僚エースは秋篠宮家を守れるか?
・次々期検事総長の最有力候補が渡ってきた“危ない橋”

