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「“堕ちた英雄”として断罪することが目的ではない」

 連載を通しての狙いについて松井がこう続けた。

 

「今回の連載は清原さんを“堕ちた英雄”として断罪することが目的ではなかったんです。もちろん、なぜ薬物を使用したのかも聞いてはいますが、まずは薬物依存と日々戦う、過剰なまでに強さと弱さを持った人間の記録として、本人の言葉をそのまま記録していこうと。清原さんがそう思っている真実をそのまま書くことが、つまずきの原点を探るうえでも重要だと考えて、鈴木もあえて語ったままを載せています。

 だから、そのありのままの言葉をどう捉えるかは読者それぞれに委ねられていて、そんな甘い奴だからこんなことになるんだという人もいれば、ここまで純粋だったから最後はクスリに付け込まれてしまったんだと思う人もいる。そこは各自が考えることなんだと思うんですね」

 そんな狙いで綴られた連載が単行本になり、冒頭で紹介したアマゾンレビューのように「清原氏の告白を淡々と記録した点に意義がある」「全てを明らかにして懺悔し、再スタートしようという覚悟や意思は微塵も感じられない」と議論を巻き起こしている。

読者からの手紙に目を落としてずっと読んでいた

 清原氏自身は読んだ人たちからの温かな反響を喜んでいるという。再び鈴木が振り返る。

1985年夏の甲子園で優勝したときの金属バットを手にする清原氏 ©杉山拓也

「連載のときに読者からの手紙が来るんです。プロ野球選手に持っていっても、なかなか読まない人も多い。でもあるとき、ためしに清原さんに持っていってみたんです。そうしたら、手紙に目を落としてずーっと読んでいて。『清原さん、それ、どうしますか』と聞いたら、『持って帰ります』っておっしゃって。それからは読者の手紙は全部渡しています」

清原氏の“闘病”は今も続いている

 発売中の『文藝春秋』9月号には、逮捕からこの2年半の闘病の日々を綴った清原氏本人による手記が掲載されている。松井は最後にこう語った。

「読者にわかってほしいのは、清原さんはまだ薬物依存の治療中で復帰に向けて少しずつ歩んでいるということ。薬物を使用することは確かに罪ですが、その後、薬に支配されてしまい薬物依存症になってしまうのは、もう病気なんです。本人の努力だけではどうしようもない部分があり、適切な治療が必要になってくる。

 ダルビッシュ選手が『告白』が発売されたときにツイッターで『(清原さんに)セカンドチャンスを』とつぶやいていました。それはアメリカではコカイン中毒などに陥った選手が周りの支援を経て治療を終え、再び復帰したという実例を目の当たりにしていることもあると思うんです。薬物依存は治療しないとほんとに治らない病気で、清原さんはそこからなんとか這い上がろうとしている、病気に勝とうとしている現状にあるということが『文藝春秋』の手記には克明に記されています」

 清原氏の半生を振り返る連載は単行本の刊行とともに終了したが、彼の“闘病”はいまなお続いている。

写真=杉山拓也

 

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