アメリカとイスラエルによるイランへの軍事攻撃は、今後どう展開するのか。第1次トランプ政権の国家安全保障担当の大統領副補佐官だったマット・ポッティンジャー氏は、イランへの攻撃に先立ち、文藝春秋の連載「投資家のためのディープな地経学」で、トランプ政権におけるイランの持つ意味や、イランに対する「今後の姿勢」の予測などを語っていた。その一部を紹介します。(近藤奈香訳)
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イラン攻撃前夜の予測
権威主義体制は、いかなる犠牲を払ってでも権力の独占を維持するという原理のもとに組織されていますが、イラン政権はその典型例です。1989年の中国共産党と同様に、イラン政権は、昨年末から全国に広がった数週間に及ぶ抗議運動を鎮圧するため、機関銃を用いました。
かつてトランプ氏は、「デモ参加者を殺害すればテヘランに対して軍事行動をとる」と、レッドラインを繰り返し示していましたが、本稿執筆時点では、それを実行しない方針に後退しています。代わりに、インフレを加速させることで、そもそも抗議運動を引き起こす一因となった経済的な「最大限の圧力」をいっそう強化しています。たとえばトランプ氏は、イランと取引する国に対し、25%の関税を課すと述べています。
もしイラン政権が、国内の動揺、外部からの軍事行動、あるいはその両方によって崩壊すれば、北京とモスクワの中東戦略に重大な打撃を与えるでしょう。
北京とモスクワにとってイランは、イスラエルを不安定化させ、アラブの王政国家を威嚇し、米国を消耗させることを狙ったテロ活動を展開する、事実上の「代理勢力」として機能してきました。米国やイスラエルに対してより親和的な新政権がテヘランに誕生すれば、この地域は大きく変貌する可能性があります。さらには、習近平政権の下で失業率が急上昇している中国においても、抗議行動が触発される可能性すらあるのです。
※マット・ポッティンジャー氏の連載記事全文(3500字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」に掲載されています。全文では、台湾やグリーンランドの問題についても語られています。
出典元
【文藝春秋 目次】芥川賞発表 受賞作二作全文掲載 鳥山まこと「時の家」 畠山丑雄「叫び」/忖度なき提言 高市首相の経済政策/緊急座談会 暴君トランプの新帝国主義
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