——記憶障害を抱えての勉強は大変だったのでは。
間瀬 手術を受けた後に驚いたのは、小学校で勉強していたことをほとんど忘れてしまっていたことでした。なので術後は小学生の漢字ドリルや算数からやり直して、中学レベルに戻るまでに4年かかりました。准看護師を取るのにさらに2年、高卒認定試験の勉強も並行していました。
——芸能活動をしながらの勉強はすごいです。
間瀬 それでもネットでは、「なぜ“准”看護師なの? 甘えじゃないの?」と何度も叩かれてきました。今は高卒認定試験にも合格したので、いちおう正看護師を取るための学校にも行けるようになりました。ただ「病院で働いてないくせに」と攻撃されることもあって、キリがない感じもしますね。
——病院で働きたいという思いも?
間瀬 もちろん現場に立ちたい気持ちはあるんですが、医療行為をしている時に記憶障害を起こしてしまったら最悪の事態もありえるので、正直現実的ではないのかなと……。
ただ実習で患者さんと接する中で医療の仕事のおもしろさを感じたので、いつかは福祉や保育など、広い意味でのケアの仕事に関わりたいですね。
——どんなおもしろさが印象的でしたか?
間瀬 僕は人と接するのが好きなほうで、コミュニケーションスキルはクラスでも多分一番だったと思います。なので、気難しい患者さんとも1日で打ち解けることが出来た時は嬉しかったし、おもしろいと思って。仕事をしていく上でそういうのがあるのは、モチベーションに繋がりますよね。
——何か間瀬さんならではのトーク術が?
間瀬 僕もそうだったからわかるんですけど、患者さんは早く退院したくて勝手に動いちゃう人が多いんです。それで看護する側はもちろん動いちゃダメと伝えるんですが、患者さんは「あんたに私の気持ちはわからないでしょ」と思っている。
でも「実は僕もこういう経験をしているからお揃いだね」って打ち明けると、驚いてそれからは素直に聞いてくれたりするんです。
「『無理しないで』と言われてしまうと遮断されているような感覚があるんです」
——難病を経験した間瀬さんだからこそ伝えられることがあるのですね。
間瀬 実習では手術後に1日でも早く立ちたがる車椅子の患者さんに出会いました。止めるのが正しい対応ではあるんですけど、自分の限界を自分で決めたい気持ちもすごくわかるので、先生に相談したうえで「立ちたい?」と聞いて、隣で支えて立つ練習を一緒にしたこともあります。
——環境を整えたうえで、患者さんの気持ちに寄り添った。
間瀬 というのも僕自身も「無理をしてでもやってみたい」と思うときがあるんです。睡眠不足になるのはわかってるけど夜遅くまでがんばりたいこともあるし、普段は控えてるお酒をたくさん飲みたい日もあります。
——病気を公表してから何度も「無理しないで」と言われてきたわけですよね。
間瀬 そうなんです。僕も健康だった時期は病気や障害のある人に「無理しないで」と自然に思っていました。でも自分が障害者になって感じたのは、「無理しないで」と言われることの苦しさ。
良かれと思って言ってくれてるのはわかるんですけど、「無理しないで」と言われてしまうと遮断されているような感覚があるんです。
——ただ相手が心配な時に、どんな言葉をかけるのがいいんでしょう。
間瀬 お芝居の仕事で「3つ役があって、どれも間瀬くんならできると思うんだけどどれがいい?」と聞いてもらえたときは、僕に選択権をくれた感じがしてうれしかったです。
あとは「何かあったら頼ってね」と言ってもらえると、どこまで頑張るかを自分で決められるので突き放された感じがない気がします。
その人の限界は、障害者であっても自分で決めたいですから、選択できることが大事なんじゃないかなと思いますね。
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