近年、子どもの性被害が深刻化している。SNSやオンラインゲームの普及により、保護者の知らないうちに子どもが加害者と知り合い、性被害に遭うケースが急増。家庭内での性被害も多く起こっている。
「子どもへの性被害は、加害者がほぼ逮捕されない。日本の対応は諸外国と比べて遅れている」と指摘するのは、虐待や性暴力の被害を受けた子どもの心身の回復を目的とするNPO法人「子ども支援センターつなっぐ」の代表理事であり、弁護士の飛田桂氏だ。
2025年12月には取材協力した電子コミック『性被害のせいで、息子が不登校になりました』(著者:あらいぴろよ、監修:斉藤章佳、KADOKAWA刊)も刊行された飛田氏に、日本における「子どもの性被害の実態」を聞く。(全3回の1回目/続きを読む)
「逮捕される案件は全被害者の1%未満」子どもへの性加害は、なかなか明るみに出ない
――「性犯罪の厳罰化」や「性交同意年齢の引き上げ」など法改正が進んでいる一方、連日のように「性被害」の関連報道を目にします。ただ、子どもの性被害の実態や、被害後のケアに関するものは、それほど目にしないように感じます。
飛田桂弁護士(以下、飛田) まさにその通りで、そもそも子どもの性被害の実態に関する調査書は、ほぼ存在しないんです。そんな背景があり、つなっぐでは、2021年から3年ごとに調査報告書を作成しています。子どもの性被害を扱う弁護士や児童相談所などに広くアンケートを取り、被害の実態から子どものトラウマケア、刑事手続きの対応まで一連をまとめているのが特徴です。
――調査からは、どんな事態が浮き彫りになったのですか?
飛田 2024年3月に発表した報告書では、近親者が加害者となるケースが非常に多いことが明らかになりました。この場合、ほぼ逮捕や起訴がされず、被害者と加害者を物理的・精神的に引き離す「分離」が困難なケースも少なくありません。
加えて、「暗数」が非常に多いことにも言及しなければなりません。例えば、電車で痴漢に遭ったとしても、程度によって被害を申告しない人は大多数に及びます。実は、男子の痴漢被害も相当数あるのですが、男子はまず申告しません。そう考えると、専門機関で把握している案件は実被害数の1割にも満たないはずです。逮捕される案件で言うと、実被害数の1%未満でしょう。
つまり、日本では子どもへの性加害は相当数あり、悪質で長期にわたることも多い。それなのに、ほとんど逮捕も起訴もされない。国における子どもの性被害の実態把握や、性被害を受けた子どもへの対応は明らかに不十分なんです。
