海外だと「児童虐待」なのに、日本だと「なぜか許されている」こととは?

――家庭内での性被害には、パターンがありますか?

飛田 多くは年長ぐらいから、AVを見せたり、お風呂に入りながら体を触ったりという感じで始まります。そして、そうした被害は高校生ぐらいまで長く続きます。

――もう一方の親は、一緒に暮らしていて気づかないのでしょうか……?

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飛田 気づいている場合もあれば、気づいていない場合もあり、家庭によってさまざまです。もう一方の親も被害を受けていて、家族全員が被害者だったり、兄弟・姉妹そろって被害を受けていたり、というケースもあります。家族間の出来事ということで、例えば父親から受けた被害を母親に打ち明けても、「何言ってるの、気持ち悪い」といった感じで理解されないことも多いんです。

 その結果、誰にも言えず、ふさぎ込んでしまう子も少なくありません。また、多くの子どもは性加害に対して一度は抵抗します。でも、うまくいかないと無気力になってしまう。そうすると、加害者に支配される関係性ができあがり、長期化してしまいます。支配性と性被害は密接に結びついているんです。

性被害に遭った子どもたちの支援に取り組む飛田桂弁護士(写真提供=本人)

――そもそも幼い子どもだと、体を触られても性被害だと気付けないですよね。大人側も、親子の触れ合いや愛情の一環と捉える場合があるかもしれません。

飛田 その点、日本は本当に性加害に甘い国ですよね。「高校生の娘と父親が一緒にお風呂に入っている」という芸能人の話がメディアで悪意なく紹介されていて、唖然とすることもあります。これは、アメリカでは児童虐待に該当します。このような国内の認識を正していく必要があります。

 いつまでも父親とお風呂に入り続けていたら「知人のおじさんとも一緒にお風呂に入っていいんだ」などと勘違いしかねません。厚生労働省では、「おおむね7歳以上の男女を混浴させない」とガイドラインを出していますが、「一定年齢になったら、異性とお風呂に入るのはおかしいことだ」と社会的に教えてあげないといけません。

――日本は「性教育の遅れ」も指摘されます。文科省の「はどめ規定」により、中学1年生の保健体育でも「妊娠の経過は取り扱わない」とされています。

飛田 性教育については、さまざまな意見があると思いますが、少なくとも性被害の予防教育は、年長ぐらいから繰り返し行わないと危険です。子どもが被害だと気付けないから、保育園や幼稚園、家庭での被害を防げないんです。