25年6月に施行された改正風営法ではスカウトバックが禁止され、斡旋業務への取り締まりが強化された。そんな中、ナチュラルが現在、注力するのが「海外出稼ぎ」、つまり海外売春の斡旋だ。
「国内の風俗店への紹介はリスクがあるし、それだけでは稼げないという危機感がありました。昨年から徐々に海外案件を増やしています」(現役メンバー)
カップルを装って海外売春に同行
アジアのほか、アメリカやオーストラリアへの紹介が多いが、現地の空港で売春を疑われ、入国を拒否され強制的に帰国させられるケースも出ている。このためナチュラルでは、カップルを装ってスカウトが同行する対策までとっていた。
「女の子のメンケア(メンタルケア)も兼ねて一緒に行くことはよくありますよ。入国手続きとか空港からホテルまでの移動とか全部やってあげると喜ばれるんで。まあまあ稼げる子だったら、自分の分の飛行機代を払っても十分ペイできますから」(現役メンバー)
スカウトを頼る女性たちには、違法なトクリュウ集団に多額のカネが流れている意識はほとんどない。
手っ取り早く大金を稼ぎたい若者たちと、「面倒なことは誰かにやってほしい」夜の街の女性たち。ナチュラルは双方の受け皿にもなっていた。
会長の逮捕容疑となった暴排条例違反はあくまで入り口にすぎない。警視庁は今後、風俗店に女性を斡旋した職業安定法違反などで再逮捕を目指し、「カネの流れを解明し、組織壊滅まで追い込む。奴らが得ているのは、納税もしていない犯罪収益だ」(捜査幹部)と意気込む。
「会長が不在でも、きっちり仕事をやるだけ」
一方、メンバーたちは会長逮捕後も普段と変わらずに活動を続け、給料もこれまで通り支払われている。組織中枢に近い人物は次のように言い放った。
「アプリも動いていますし、取引先の店舗とも連絡をとっています。資金もまだまだ豊富にありますから。会長がしばらく不在でも、我々はきっちり仕事をやるだけです」
夜の街のあらゆる欲望を喰いながら、ナチュラルという得体の知れない組織は、今も増殖し続けている。
(しみずまさひろ/1973年生まれ、長野県出身。北海道大学を卒業後、99年にNHK入局。主に事件取材や調査報道に携わる。警視庁キャップや「おはよう日本」編集責任者などを務めたほか、NHKスペシャルなど数々のドキュメンタリー作品の取材・制作にあたった。2024年10月に独立し、メディア関連会社を設立。)
(にほんばしぐるーぷ/メディアや官僚、政界、IT企業などの出身者で構成される新しい形の取材・情報チーム。国内外の機関と連携して調査報道を行うとともに、ドキュメンタリーや映画の企画・制作に取り組んでいる。)
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