「16時に《ちょっと出かけるから、ポストにカギを入れておく》と娘からLINEがありました。自宅に戻ると、娘は不在だったが、特に心配していなかった。
ところが、19時以降既読がつかない。門限の22時を過ぎても帰ってこない。何度も電話したり、返事をするようにLINEしたが、深夜2時になっても反応がない。携帯のGPSで調べると、およその場所が分かった。それで捜索願を出しました」
彼女を殺した男の「正体」
まだ17歳の少女がラブホテルで殺されるとは、どんな経緯があったのだろうか。
警察はA子さんの携帯電話の解析や周辺の防犯カメラの映像などから、1人の男を浮上させた。地元の派遣会社に登録したばかりだった富山功輔(同30)である。
富山はA子さんと一緒にホテルに入り、1人で退出した後、放置自転車に乗って逃走。A子さんのCOACHの財布を換金したが、偽物で180円にしかならず、ヒッチハイクで遠方に逃げ延び、ネットバンキングの口座を作って、1個8万円で売るなどして、逃走資金を作っていた。
実は富山は事件前日、宿泊先のユースホステルに滞在していた韓国籍の男子大学生の高級スニーカーを盗んだとして、警察の取り調べを受けていた。
その場で免許証を確認され、顔写真を撮られたが、その件は被害者に7万円の弁償金を支払うことで示談が成立し、勾留されなかったが、その後、連絡が取れなくなったことから、被害者が警察に相談していた。
これらの事情から身元を特定され、富山が遠方のマンガ喫茶から出てきたところを逮捕されたのは、事件から11日後のことだった。
調べに対し、富山は「彼女とは援助交際の約束でホテルに入った。プレイが終わった後に金銭トラブルになり、スマホで撮影しようとしてきたので、やめさせようと思い、首を絞めてしまった」などと供述した。
「金銭トラブルとは?」
「帰ろうとしていたとき、『未成年であることを知りながら、会ったことを分かっていますか。口止めの追加料金をもらってもいいですか?』と言われました」
「いくら要求された?」
「指定はありません。自分は援助交際の料金しか持っていない、ホテル代を払った残りの金なら持って行ってもいいと言いましたが、彼女は一歩も引いてくれませんでした」
富山はA子さんの死を確認しないで外に出たと言うが、2階の窓から脱出しており、ホテルの代金は払っていない。警察は裏付けを取るうちに、富山の供述に疑問を抱くようになった。