いじめ動画がSNSで拡散されて問題化することも多いが、そうしたケースの中でも極めて悪質な事件があった。
2025年9月、大阪府警浪速署は強要や暴行の疑いで、大阪市内のトレーディングカード店オーナー・山下諒、同店の手伝いなどを行っていた橋本充輝、竹内孔志の3人を逮捕した。3人は、店に出入りをしていた2人の被害者に対して、暴力を加えて抵抗できない状態にした上で「罰ゲーム」などと称してとんでもない犯行に及んでいた。
アルコールを身体に噴霧しライターで点火、男性器に巻き付けたアルミホイルをコンセントに差し込ませて感電させる、挙句の果てには大便を口に含ませ——こうした犯行の一部はスマートフォンで撮影して、仲間内で共有などもされていた。
3人の裁判は別々に行われ、2月3日に主犯格である山下被告の判決が出た。最終的に、全員に有罪判決が言い渡されている。いったい、なぜこのような事件は起きてしまったのか。裁判で明らかになったおぞましい犯行現場のようすや、法廷での被告らの態度について、傍聴を行った裁判ライターの普通氏がレポートする。
じゃんけんで負けた被害者にアルコールを吹きかけ……
2人の被害者(以下、Aさん・Bさん)は身上が判然としなかったものの、裁判では「施設」「事業所へ通所」などの単語が使われることがあった。2人とも、山下被告の店に出入りしていたようだ。
被害者のうちAさんへの事件は、山下被告、竹内被告、Aさんの3人が店内にいる際に起こった。とあるアニメ作品の話題で、作品で描写されていたとされる「足に火をつける行為」を行うことになり、じゃんけんで負けた人物が対象となった。
消毒に使うアルコールを霧吹きで噴霧した後にライターで火をつけるやり方で、一瞬で燃え上がってからすぐ自然に鎮火することから、山下被告の供述によると過去に同様のことを仲間内で10回以上行っている“定番”だったという。山下被告も竹内被告も罰ゲームとして同様の行為を受けたことがあったと供述している。
結果、じゃんけんに負けたAさんだったが、もちろん抵抗した。弁護人から、その様子を見て止める気はなかったか問われると、山下被告は「じゃんけんに負けたのでやって下さい、と言いました」とあくまで脅しではなく丁寧な口調だったことを強調。しかし、いくら丁寧な口調であろうと、じゃんけんの勝ち負けの代償には明らかに見合わない、残虐な行為である。
