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(4)『極悪女王』(2024年)
心優しきひとりの少女は、なぜ日本女子プロレスを代表するヒール(悪役)になったのか。日本中から嫌われた最恐のヒール・ダンプ松本の半生を描く本作は、日本がプロレスに熱狂していた80年代の空気も見事に再現している。
女子プロレスラー役の俳優はオーディションで選ばれ、ゆりやんレトリィバァがダンプ松本役を射止めた。企画・脚本・プロデュースは鈴木おさむ。総監督は映画『孤狼の血』シリーズなどで知られ、自身も大のプロレスファンである白石和彌。さらにプロレス監修には、劇中で唐田えりかが演じた長与千種が参加している。
「彼女以外は考えられない」絶妙な配役
主人公の香(ゆりやん)は、ビューティ・ペアに憧れてプロレス界の扉を叩くものの、なかなか芽が出なかった。やがて言われるがままに悪役レスラーの道を歩み始めるのだが、とある事件をきっかけに、真の“ヒール”へと覚醒する。ゆりやんの配役も絶妙で、いま思い返してみても彼女以外は考えられない。
熱狂的な女子プロレスブームの中で世間に消費された彼女たちの物語が、時を経て、ふたたびスポットライトを浴びる。そのことに、なによりも強いドラマ性を感じた。一時代を築いた女子プロレスと、当時リングで戦い続けた選手たちへの敬意が込められた一作である。

