グレースと異星人は“友人同士”になれるのか?

『プロジェクト・ヘイル・メアリー』にも、こうした作風に一致するところがいくつもある。主人公ライランド・グレースは中学の科学教師で、物語冒頭では状況を何ひとつ理解していない。演じるライアン・ゴズリングも「分子生物学の博士号を除いて、彼はごく普通の人間」と言っているほどだ。

 

 ロード&ミラーは、グレースとともに“バディ”として任務に挑む異星人・ロッキーにも注目した。宇宙空間でたったふたりきりとなった彼らの関係こそ、映画全体のテーマを表現するものだという。すなわち「宇宙の存続が自分たちにかかっているとしたら、大人の男たちは友人同士になれるのか?」ということだ。

 このように整理してみると、本作は『スパイダーマン:スパイダーバース』と近い構造をもっているのかもしれない。壮大で緻密な世界観、パーソナルな人間関係をめぐるドラマ、そして目まぐるしいスペクタクル。ロード&ミラーは、小説の映画化にあたり自分たちらしいユーモアも詰め込んだという。

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 ミラーは予告する。「ジャンルを超えた映画です。スリリングで、ドラマティックで、エモーショナルで、笑えます」。

 ふたりが実写映画を監督するのは『22ジャンプストリート』(14年)以来12年ぶり、しかも史上最高スケールの大作だ。数々の作品でプロデュースや脚本を務め、磨き上げてきた創作術は、この大舞台でいかに花開くのだろうか?

INTRODUCTION

映画『オデッセイ』(15年)の原作となった小説『火星の人』のアンディ・ウィアーによる同名ベストセラーに、主演のライアン・ゴズリング自身が惚れ込んで映画化の運びとなった本作。ライアンは「これを映画化できるのは彼らしかいない」とアカデミー賞長編アニメ映画賞受賞作『スパイダーマン:スパイダーバース』(18年)のフィル・ロード&クリストファー・ミラーに依頼したという。脚本に『オデッセイ』のドリュー・ゴダードを加え、このハードSF大作に臨む。

 

STORY

中学教師グレース(ライアン・ゴズリング)が目覚めると、そこは宇宙船の中だった。一体なんでこんなことに……記憶をたどっていくうちに、太陽エネルギーが奪われ、地球の気温が低下。全生命滅亡の危機にある地球を救うために、11.9光年先の星に向かう「プロジェクト・ヘイル・メアリー」というイチかバチかの大作戦に彼が参加したことを思い出す。旅を続けるうち、グレースは自分と同じく愛する故郷を救うために、ひとりで奮闘する異星人と出会う。グレースは彼をロッキーと呼び、難題に取り組むことに……。

 

STAFF & CAST

監督:フィル・ロード & クリストファー・ミラー/出演:ライアン・ゴズリング、ザンドラ・ヒュラー、ライオネル・ボイス/2026年/157分/アメリカ/配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

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