「視聴者に嫌われない」松嶋菜々子の強み
そんな『おコメの女』の顔となる松嶋は、1996年にNHK連続テレビ小説『ひまわり』で本格的に俳優デビューしてから今年で30年を迎える。松嶋が26歳の時に出演し、その人気を確かなものにした『やまとなでしこ』(フジテレビ系)は今なお語り継がれる名作であり、民放公式テレビ配信サービス・TVerでも現在配信中だ。
松嶋演じる桜子は、才色兼備のキャビンアテンダント。貧しかった幼少期のトラウマから玉の輿を夢見る彼女は、常に何人ものお金持ちをキープしながら、より条件がいい男性を求めて毎晩のように合コンへ繰り出す。
ある日の合コンで大金持ちを象徴する馬主バッジをつけた欧介(堤真一)と出会い、即座にロックオンするが、彼が実は貧乏な魚屋だったとわかるや否や、あっさり切り捨てる。それほどまでにお金に固執する桜子はともすれば品性に欠けた卑しい女性に映りかねず、視聴者が離れていく原因にもなりかねない。それを松嶋は見事に回避してみせた。
松嶋の清楚でエレガントなビジュアルと知的なオーラがあるからこそ、桜子がどれだけゲスなことを言っていても下品にならない。それどころか、全くブレずにお金持ちと結婚するという目標に向かって突き進んでいく様はカッコよく、高潔な女性にすら思えてくる。それでいて、松嶋が表情豊かに演じる桜子には嫌味のない、少女のような可憐さがあった。簡単には手に入らなさそうなのに、ちょっと危なっかしくて守ってあげたくなる。老若男女問わず、誰もが好きになってしまうだけの要素が詰まっているのだ。
