華やかなオーラを封印→視聴率40%の「伝説のドラマ」に
2005年と2007年に放送された『花より男子』(TBS系)では、松本潤演じる道明寺司の姉・椿を好演。大財閥の娘でありながら、庶民にも気さくに接する椿のキャラクターに、気高さと親しみやすさが共存する雰囲気で説得力を与えていた。
そんな松嶋が華やかなオーラを封印し、挑んだのが、『家政婦のミタ』(日本テレビ系)の主演だ。松嶋演じる家政婦の三田は業務命令とあらば、どんな依頼も「承知しました」の一言で引き受けるキャラクター。たとえ犯罪紛いの行為でも躊躇いなく淡々と実行する様は不気味で、ストーリー自体も過激でシュールだった。
にもかかわらず、同作が最高視聴率40%を記録する伝説のドラマになり得たのは松嶋の存在が大きいだろう。笑うことはおろか、表情を一切変えずに何をしでかすか分からない不気味さもありながら、松嶋演じる三田からはふと温かみがこぼれる。それが一筋の正義のように感じ、彼女がなそうとしていることを最後まで見届けようと思わせてくれた。
「毒親なのに憎みきれない」朝ドラで見せた新境地
昨年は、古巣の朝ドラことNHK連続テレビ小説『あんぱん』で、漫画家のやなせたかしをモデルにした柳井嵩の母・登美子を演じたことで話題を集めた松嶋。その浮世離れした美しさと、奔放そうな佇まいが、登美子の母親になりきれなさを観る人に一瞬で伝えるのに一役買っていた。
自ら息子たちを手放したにもかかわらず、突然現れては消えを繰り返し、振り回す登美子は現代なら“毒親”に分類されるような母親だろう。しかし、見ていてイラッとさせられることもありながら、どこか憎みきれなかったのは、松嶋が演じていたからに他ならない。登美子の気品とチャーミングさ、さらには不器用な彼女なりに息子への愛情を貫く様はどこか『やまとなでしこ』の桜子を彷彿とさせる。「これぞ、松嶋菜々子!」と唸った人も多いのではないか。