ちなみに日曜の1面コラム「産経抄」では、審議の短さをWBCの「ピッチクロック」(制限時間内での投球を課す)に例えていた。
《「常識破り」と評される審議時間の大幅な短縮は、高市早苗首相が国会に持ち込んだピッチクロックの産物といえなくもない。》
すごい! 無理やりな擁護もここまでだと笑ってしまう。やはり読み比べは面白い。ちなみに「常識破り」と評されるというが、そう言っているのは先述のとおり産経師匠ご自身だった。ここも笑ってしまう。
自民内に「禍根を残す」と困惑が…
そんな産経だが、怖いことも書いていた。審議時間短縮に困難だとの認識を示した自民の梶山弘志国対委員長を交代させたいと首相が漏らしたこともあったという。自民内に「禍根を残す」と困惑が広がった、と。
このあたりを他紙で確認しよう。
《梶山氏は留任したが、議会運営の中心にある衆院議院運営委員長の浜田靖一氏を交代。政権幹部は「恐怖政治のようになってきた」と語った。》(朝日新聞)
いかがだろうか。同じ与党内の言葉でも産経は「首相は純粋な人」を紹介し、朝日は「恐怖政治のようになってきた」を挙げている。どっちなんだろう。あ、「自分を疑わない純粋な人が恐怖政治をする」のか。いちばん怖い。
人事権をちらつかせる政治手法が党内に沈黙を強いている。だが自民党が沈黙する最大の理由は、「派閥の裏金問題をきっかけに陥った党勢低迷からの脱却を果たした首相の功績を重くみた」(朝日新聞)ためだという。
裏金については常々、裏金問題をきちんと説明できない人がオモテの金(国家予算)を扱えるのだろうか?という疑問があった。今回の審議軽視や、「なぜ成立に協力しないの?」という他責思考を見ていると、以前からの疑問がますます強くなる。