ラスト直前の11話に「無声」の回を
治郎丸 そして本日最後に上映した第11話。台詞がほとんどない無音のエピソードですが、これをラスト直前の回に持ってくるという構成には驚かされました。
竹中 12話あるうちの1本を無声でやろうというのは、当初からありました。この11話は、フィルムスコアでやっていまして、先にカッティングした映像に合わせて音楽を当て書きしてもらったんです。だから感情線が他の回よりもシームレスに作れたかなと思っています。無声で作るとかはオリジナル作品とかでないとなかなかチャレンジできないことですから、思い切ってやってみました。
治郎丸 この回ではヤチヨが私服をコロコロ変えるのも見どころです。あの私服も竹本先生のラインを感じますね。
竹本 あのヤチヨの服、可愛いんですけど、自分では描けないんですよ。本とか雑誌を見て「誰かが着ていたな」という記憶があれば描けるかもしれないけど、僕の頭の中にはない。だから「ああ、これは可愛いな」と思いながら観ていました(笑)。
「僕ら世代の悲願だ」
治郎丸 制作の成り立ちについても伺いたいのですが、竹本先生に最初にお声がけがあったのはいつ頃ですか。
竹本 竹書房の編集者からキャラクターデザインの仕事が来ていると言われたのが最初です。コロナが始まった頃だったので、打ち合わせできるのかなと思いながら、とりあえず集まって。プロットを渡されて「キャラクターを何人か描いてください」という話でした。
竹中 もともとこの企画は僕とは別の人間がライデンフィルムの里見社長に相談したところから始まっています。その人間が突然会社を辞めることになって、僕が引き継いだんです。その時にはすでに竹本泉先生にキャラクター原案を発注していて、里見さんからは「僕ら世代の悲願だ」と言われまして(笑)。
竹本氏のキャラクターでアニメを制作するのが悲願だった、という言葉に会場からは拍手があがった。続編を望む声もしばしば寄せられるという。
竹中 『アポカリプスホテル』をまた作ってと言われるのは本当に嬉しいです。次をどう作るか、常に考えていきたい。あと、この作品はハリウッド実写化に向いているんじゃないかと思っているんです。舞台をニューヨークに移してかまわないので、アンドロイドの女の子が終末世界で過ごす。そんなお声がけを待っています(笑)。
竹本 アニメが終わってからだいぶ経ちますが、スタッフの方は次の仕事に行かれている中、一人だけ漫画版の連載を未だに続けています(笑)。一人だけ補習で学校から出られないような感じですが、この仕事自体はすごく楽しいので、続けられるのはいいなと思っています。
『アポカリプスホテル』
2025年/23分×全12話/監督:春藤佳奈/シリーズ構成・脚本:村越繁/キャラクターデザイン:横山なつき/美術監督:本田こうへい/音楽:藤澤慶昌/©アポカリプスホテル製作委員会

