「事件当日は午後11時過ぎに仕事を終えた母から『バスに間に合いそうにないから、迎えに来て欲しい』と自宅に電話がありました。いつものように車で迎えに行こうと思いましたが、たまたまガソリンが切れていた。そのことを母に伝えると、『じゃあ、歩いて帰るよ。大丈夫だから』と言いました。これまでも歩いて帰ることはありましたから、それほど心配していなかったのですが……」

 それが怜子さんの最後の消息となった。職場から自宅までの距離は1200メートル。普通に歩けば、20分ほどの距離だ。怜子さんはこの間に何者かに暴行され、無残な死を遂げたのだ。

 遺体があったのは怜子さんの自宅の玄関の2メートルほど手前だった。付近の10メートル近くにわたり、怜子さんの黒色ジャージの上着やジーパン、靴など衣類が散乱していた。

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腎臓や肝臓が破裂するほどの大ケガ

 司法解剖の結果、さらに不可解なことが分かった。怜子さんはレイプされた上、首を絞めて殺され、腎臓や肝臓が破裂するほどの大ケガを負っていたことが判明した。顔面にも殴られた跡があり、鼻の骨を骨折し、左の肋骨は4本、右の肋骨は11本も骨折していた。

 だが、これだけ凄まじい暴力を受けながら、現場周辺の住民たちは誰も怜子さんの叫び声や車の音などを聞いた者がいなかった。

「怜子さんは別の場所で殺され、自宅前の路上まで運ばれてきて、衣類などと共に遺棄されたのではないか。そうなると、自宅を知っている顔見知りの犯行の可能性が高い」

 警察は怜子さんの交友関係を中心に捜査を開始したが、怜子さんは子ども中心の生活を送っていて、浮いた話は何一つ浮かび上がってこなかった。職場の同僚は「彼女は食器洗い担当で、仕事で恨まれるようなことはないと思う」と首をかしげていた。

 ところが、事件はそれで終わりではなかったのだ。

次の記事に続く 《懲役は…》「あいつ以外に事件にかかわった者はいない」9年越しでついに逮捕…48歳シングルマザーを強姦殺人した『凶悪犯の正体』(平成14年の事件)