アメリカ中心の国際秩序が揺らぎ、世界は「G0(ジーゼロ)」とも呼ばれるリーダー不在の時代に入った。そんな中で、アフリカやアジアの国々が参照モデルとして見始めているのが中国だという。

 落合陽一氏と先崎彰容氏が、激変する世界秩序の行方を語る。新刊『令和日本をデザインする』(文春新書)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/最初から読む

落合陽一氏×先崎彰容氏の対談をお届けする ©文藝春秋

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今の国際情勢は「先生不在の教室」

先崎 それが今、私たちが直面している本質的な問題なのです。日本には参照すべき国家像はもはや、外側にはなくなった。国際情勢で、しばしば耳にする「G7の時代ではなく、G0」だというのも、アメリカの国力が相対的に落ちた結果、世界全体を把握し、秩序維持をできるパワーが存在しないことを言っている。

 学校の教室の風景を思い出してみればよいのです。先生が先生としての権威と権力をもっているかぎり、どんなにつまらない講義でも、学生たちは混乱しない。机に突っ伏して寝ているだけか、教師の話を無視していたずらをしているだけ(笑)。

 ところが、先生が不在の教室になるとどうなるか。学生はいっせいにうろつき始めるでしょう。あまりにうるさくなると、今度は無秩序を心配した優等生が、「静かにしようよ」と言ったとする。すると、「なんだ、お前生意気だ」となる。なんでお前に教室を仕切る権利があるんだと怒りだす。こうして、誰が秩序を再建するのかをめぐる、あたらしい権力闘争が始まってしまう。

 令和の国内外の「権威」の喪失は、なにも知識人の終焉だけではなく、あらゆる場面で生じている。たとえば、ロシアが欧米の言うことを聞かなくなったこともそうですし、グローバル・サウスだって発言したいんだ、オレは自由でありたいんだと、さまざまな国が言い始めているのです。

落合 ロシアはグローバル・サウスを巻き込んで、ある意味で台風の目になっています。