2025年4月、アメリカで公開された1本の韓国アニメーション映画が、米映画界で大きな話題を呼んだ。映画の名は『キング・オブ・キングス』。英国の文豪チャールズ・ディケンズの「The Life of Our Load(私たちの主の生涯)」を原案とする本作では、ディケンズが息子ウォルターに、「王の王」の物語を語り聞かせるという形で物語が進んでいく。
その人物はイエス・キリスト。なぜ韓国でキリストの生涯を描いたアニメーションが生まれ、それが世界的な話題を呼ぶことになったのか。“韓国VFX界のパイオニア”と称され、本作の構想から完成まで10年を費やしたというチャン・ソンホ監督に、今回お話をうかがった。(通訳:延智美)
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「韓国のキリスト教映画」がアメリカを席巻した理由
――『キング・オブ・キングス』は韓国で作られたアニメーションですが、イエス・キリストの生涯を描き、セリフはすべて英語です。また、ピクサーのアニメーションをも思わせるきめ細やかな画面も印象的で、いい意味で「韓国映画」らしからぬ印象を受けました。
チャン・ソンホ 『キング・オブ・キングス』はアメリカの資本ではなく、韓国の資本で作られたということに大きな意味があります。一度アメリカから投資のオファーも受けたのですが、悩んだ末にそれを辞退する選択をしました。
というのは、アメリカの資本が入ると、作品の編集に干渉されてしまうからです。それは私が志向する作品とのずれが生じる原因にもなるので、韓国の資本のみで作品をつくることを決めました。
一方で、ハリウッドにも負けないような技術を駆使した作品をつくるには、莫大な予算が必要でした。そのために、私たちは当初からハリウッド市場を第一のターゲットに据えていました。正直に言えば、今回「イエス・キリスト」を題材として選んだのは、コンテンツとしてのキリスト教がアメリカでは強かったこともあります。キリストを題材にした作品で、投資したお金を取り戻せずに終わる可能性はそこまで高くはないだろう、と考えました。

