杉咲花主演ドラマ『冬のなんかさ、春のなんかね』(日本テレビ系)がいよいよ最終回だ。映画『愛がなんだ』『街の上で』の今泉力哉が監督・脚本を手がけた本作は、ときに議論を巻き起こしながらも、その熱量を落とすことなく、この3ヶ月を走り抜けてきた。
小説家の文菜(杉咲)は、近所のコインランドリーで偶然出会ったゆきお(成田凌)と付き合う。だが、本気で誰かを好きになることをどこかで避けている文菜は、ゆきおとまっすぐに向き合えない。前半は、文菜の恋愛観や価値観を形成した男性たちが各話ごとに登場するのだが、後半はゆきおとの関係にふたたび焦点が当たる。しかし、最終回直前の第9話で、ゆきおが同僚の紗枝(久保史緒里)に心惹かれており、文菜との別れを選ぼうとしている姿が描かれた。
「共感できない」主人公への戸惑いも
『杉咲花の撮休』(WOWOW/2023年)以来となる今泉監督との再タッグが実現した本作だが、序盤はどちらかというと、戸惑いや否定的な意見が目立っていたように思う。おそらくその理由のひとつは、主人公の文菜だ。
恋人がいながらも先輩小説家・山田(内堀太郎)との関係を断ち切れず、自分に好意を寄せる小太郎(岡山天音)をホテルに誘うなど、どこかファム・ファタール的に彼女を映していたからだ。その姿は、『アンメット』(カンテレ/2024年)や『海に眠るダイヤモンド』(TBS系/2024年)で強まった杉咲の清廉なイメージとあまりに違いすぎて、その姿に嫌悪感を覚えた人もいるかもしれない。
あるいは、密室で交わされる文菜たちの生っぽいやり取りに、むず痒くなった人もいるのだろう。「共感できない」「理解しがたい」。SNS上ではそんな声も聞かれた。
本当に「テレビドラマっぽくないドラマ」だったのか?
一方で、本作は「テレビドラマっぽくないドラマ」として、序盤から評価されていた。「ドラマっぽくない」とはつまり、説明的ではない脚本や演出、なにげない会話のやりとりやオシャレな画作りを指しているのだと思うが、むしろテレビドラマというフォーマットだからこそ、ここまでの盛り上がりを見せたのではないか。どこにゴールがあるのかわからない物語への視聴欲を掻き立てたのは、間違いなく、テレビドラマならではの“1週間の熟成”だ。

