ソ連崩壊やトランプ大統領誕生を予言した歴史人口学者エマニュエル・トッド氏。2024年1⽉にフランスで刊⾏された『⻄洋の敗北』は世界27カ国で翻訳され、⽇本語版も10万部超のベストセラーとなった。

 アメリカとイスラエルによるイラン攻撃が進む中、文藝春秋PLUSの緊急インタビューに応じたトッド氏が語ったのは「もはやアメリカの行動に合理性を求めてはならない」という衝撃的な分析だった。通訳は慶應義塾大学名誉教授の堀茂樹氏。(全2回の1回目/続きを読む

JP ナビゲーションをスキップ 検索 作成 アバターの画像 【日本は台湾有事に関与するな】ドイツと日本ははいまだに独立国とは言えない|アメリカはもはや民主主義国ではなく“帝国”である|真の独立を果たすために日本は“平和的”核武装せよ【エマニュエル・トッド】

(初出:「文藝春秋PLUS」2026年3月24日配信)

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アメリカの非合理性

 トッド氏はまず、アメリカのイラン攻撃の背景について自らの仮説を語った。ウクライナ戦争でのロシアに対する敗北、経済面での中国に対する敗北という「2つの大国への力負け」の精神的代償として、より小さな国々への攻撃が始まったのではないか――当初はそう合理的に解釈しようとしたという。

 しかし事態の進展を見て、その見方を修正せざるを得なくなったと述べた。

「アメリカではますます合理性ではなく、非合理性が働いている。その非合理性があらゆる物事を決定してしまっている」

 もはやアメリカの行動に理性的な戦略を読み取ること自体が誤りだというのである。

「第二次大戦との類似」に潜む不安

 トッド氏はこの状況を第二次世界大戦の時代と重ね合わせた。当時の中心にあったのはナチズムの暴力とあまり理性的とは言えない政治状況だった。

エマニュエル・トッド氏

「アメリカは全体として反ユダヤ主義というわけではない」としつつも、イスラエルの問題を通じてユダヤ民族が再び世界の問題の中心に絡んでいることは明白だ。自身もユダヤ系であるため深い不安を覚えていることを隠さない。

「慎重に注意深く観察し、判断していくことが必要だ」