二足歩行へ進化した我々人間は、膝に甚大な負担を強いている……。万人病ともいえる変形性膝関節症を防ぎ、いつまでも元気に自分の足で歩き続けるポイントは“貯筋”にあった! 膝のカリスマが教える膝トレ&食事法。

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歩行時には体重の2.8倍もの負荷が膝に

 膝関節のクッションとなる軟骨がすり減ることにより、膝に痛みが生じる「変形性膝関節症」。二足歩行の生活を選んだ人間の“宿命”ともいえる病である。

「生活している限り、絶えず荷重を受け続ける膝の軟骨は、年齢を重ねるほどすり減っていきます。つまり、変形性膝関節症は、誰もがなりえる万人病。一度すり減った軟骨は再生しないので、早期に対処しなければ歩行や外出に支障を来し、要介護にも直結します」

 埼玉協同病院で整形外科部長を務める桑沢綾乃医師は、こう語気を強める。膝関節の代表的な手術である人工膝関節置換術での症例数は1日5件、年間600件と、国内随一。桑沢医師の手技を目当てに、患者や教えを乞う医師たちが全国から殺到する、膝治療のトップランナーだ。

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変形性膝関節症は潜在的な患者も含めると推計3000万人にも上ります。女性に多い病気で、60代の女性の約6割が罹患していますが、とりわけ閉経を迎える50代以降は男性の2倍以上となり、男女差が鮮明になります」

 私たちは日々、知らず知らずのうちに、膝に甚大な負荷をかけている。

「立って活動している間は、体重の大半を膝関節が受け止めています。さらに、歩行時には体重の2.8倍、早歩きだと4.4倍、階段を下りる際には4.9倍もの負荷が膝にかかっています」

 膝関節とは、太ももの骨(大腿骨)と、脛の骨(脛骨)の“つなぎ目”を指す。2つの骨の先端を覆う軟骨は、骨を守るクッションのようなもので、衝撃をやわらげるほか、痛みを感じる神経がないため、関節を痛みなく滑らかに動かす役割を果たしている。