「私は、この質問(娘はどんな表情だったか)は、悲しい顔をしてたとか、そういう言葉が聞きたかったんですけど、返ってきた言葉が『猿の顔、馬鹿ですね』って。なんでこんな思いをしないといけないんだろうかって、本当にもうなんか、もう悲しくなってきます」(2025年9月6日取材)と弥里さんの母親は、やりきれない思いに苛まれるばかりだったという。
母親に対して育てた責任を問う
『この元少年を育てた母親にも、責任はあるはず』。遺族は2023年に元少年とその母親に対し損害賠償を求める民事裁判を起こした。
しかし2025年3月、1審の福岡地裁は「母親とはおよそ4年半離れて暮らしており、施設に入所中の少年が危害を加える可能性は予見できなかった」と判断し、元少年に対してだけ損害賠償を命じた。
「15歳でやってて、無差別の殺人ですよ。それで親が、責任がないっておかしいじゃないですか。裁判でも刺した時の動機が『自分の母親と重なった』と言っていた。これ一番大きな証拠だと思うんですよね、母親の影響があるって。私は母親にちゃんとこの事件と向き合って、娘にも償いをしながら生きていってほしい」(吉松弥里さんの母親 2025年9月6日取材)
遺族は、元少年の母親を相手取り控訴。一方、元少年の母親側は「少年院から受けた通知で元少年の粗暴性が解消されつつあると記載があり、事件の予見は困難だった」などと、改めて訴えを退けるよう求めた。
娘の部屋は当時のままに…
事件からまもなく6年。控訴審の判決を前にした3月7日、弥里さんの母親が取材に応じてくれた。弥里さんの部屋は当時のままだ。
「弥里さんの部屋に毎日入って会社に行ってます。『おはよう』って言うけど、返事ないんですけどね。時間が経てば経つほど、だんだん思い出すんですよ。事件当時のこととか、弥里の姿とかを想像してしまう。忘れた日はないです」
「弥里を返して欲しい…。帰って来ないんですよ、もう。ごめんなさいじゃ済ませられないよって。それを分かってもらいたい。もう金額じゃないんですよね。裁判官は控訴理由ちゃんと読んで、判断していただきたい。祈るしかない」。







