SNSで注目を浴びている「ツナプリンセス」こと、高橋李奈さん(31)。160kgの大きなマグロを次々と解体していく姿に、外国人観光客からは「She is SAMURAI.(彼女はサムライだ)」との声も上がる。しかし、彼女は意外にも、水産業界は完全未経験からのスタートだった。
元々はデザイナーで、魚をさばけないどころか、どちらかというと「お肉が好き」だったという。そんな彼女がなぜ、男性ばかりの築地市場に飛び込み、人気マグロ解体師となったのか。その背景には、彼女ならではの覚悟と戦略があった。
◆◆◆
「魚をさばく女性はかっこいい」デザイナーからの転身
高橋さんのキャリアの始まりは、地元・新潟のデザイン事務所だった。充実した日々を送る一方、ある時、友人たちとの会話をきっかけに「楽しくて、もっとお金を稼げる仕事がしたい」と考えるようになる。
次の仕事を探す条件は、ライバルが少なく、日本一になれる可能性があること。答えは、スーパーで買い物中に訪れた。「魚をさばく女性って、めっちゃかっこいいな」というひらめきだった。どうせやるなら一番大きな魚がいいと考え、「マグロだ」と直感。すぐに豊洲の業者に電話をかけ始めたが、現実は甘くなかった。
「女の子には難しいし無理だよ」と断られても諦めなかったワケ
「『女の子には難しいし無理だよ』って、5軒連続で断られました」と高橋さんは振り返る。しかし、高校時代に勉強に打ち込み、学年320番台から50位まで成績を上げた成功体験が彼女を支えた。「本気でやれば絶対できる」という自信が、彼女を諦めさせなかった。
6軒目で電話をかけた現在の職場「キタニ水産」の店長が興味を示し、ついに築地への扉が開かれた。しかし、入社後は過酷な修業の日々が待っていた。包丁すら握ったことのなかった彼女は、うまくマグロをさばけず、大事な身を大量に中落ちに残してしまう失敗を繰り返した。時には店長から「本気でやらねえんだったら帰れ!」と怒号が飛ぶこともあった。
地道な努力で「自分自身のファン」を増やしていった
それでも彼女は「どんなに怒られても逃げない、負けない。私は必ずやれる人間だ」と食らいついた。技術がない分、排水溝の掃除やゴミ捨てといった泥臭い仕事を率先して行い、デザイナー経験を活かして商品のポップを手作りした。さらに、客の顔と名前を覚え、手作りの魚料理を試食してもらうなど、地道な努力で「自分自身のファン」を増やしていった。
力で劣る分、ヒレを先に外す下準備や包丁の入れ方を研究し、トップ職人の動画を見ては実践を重ねた。その努力が実を結び、今では後輩を指導する立場にまでなった。彼女の半生や、男性社会で「女性であること」を諦めずに戦う覚悟の詳細は、本編で語られている。
〈つづく〉






