昨年から日本全国で相次いでいるクマ被害。冬眠明けのシーズンとなり、全国各地で目撃情報が相次いでいる。
2025年度の被害規模は、クマに襲われて命を落とした人は13名、傷を負った人は223名となり過去最大だ。クマ被害を抑制するために必要な方策を前環境大臣・浅尾慶一郎氏が提言する。
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クマの習性は変わっていない
ドングリが凶作の年にはオスグマも山林を出て、人間の生活圏に来ていると思われますが、大きくて強いオスグマは、凶作であっても、山林内でエサを確保できるので、山林を出ることは少ないようです。凶作の年は母グマと子グマ、小さくて弱いオスグマが、山林から押し出されて人間の生活圏に来ていると見られます。このようなメカニズムを経て、アーバンベアが増え、クマの被害が大幅に増加したのです。
クマの食性が草食から肉食に変わり、人間を食べるために山林から出てきているのではないか。人間を警戒して近づかないはずのクマが凶暴化し、人間への恐怖を感じなくなってしまったのではないか。巷では、そのような推測が飛び交っていますが、それらはまだ科学的に確認された事実ではありません。クマの食性や、人間を恐れ、できれば遭遇したくないという習性は依然として変わっていないと考えられます。
生息域が拡大し、ドングリの豊作の年が増えたことで、個体数は増えたものの、凶作の年が訪れるペースも上がったために、エサにありつけなくなったクマは、エサを求めてやむなく山林を出ざるをえない。昔なら、そこは里山だったけれども、今では山林を出たらすぐに人間の生活圏になっているために、人間と遭遇する確率が高くなった。そして、クマと人間は残念ながら、同じ空間に一定の時間以上いると、自分の身を守るためにどちらかが相手を攻撃せざるをえない。結果としてクマ被害が大幅に増加した。

