とするならば、ドングリの凶作の年にクマがエサを求めて山林を出ても、そこにエサがなく、身を隠す場所もなく、人間もあまりいないようなエリアを作るのが最も賢明で根本的なクマ対策になるはずです。クマが山林を出ても、そこに広がるのが人間に見つけられやすい草原など開けた場所で、しかもエサがないことを学んでいけば、やがて山林を出なくなるでしょう。

 かつてはクマの生息域と人間の生活圏の間には、里山のような「緩衝地帯」があり、それが人間とクマの共存(棲み分け)を可能にしていました。しかし、これまで述べてきたように里山は減少し、「緩衝地帯」は消え、クマの生息域と人間の生活圏が近接してしまいました。であれば、再び「開けた緩衝地帯」を人工的に作り出すしかありません。それこそが私が提唱したい「自然の管理」です。

前環境大臣・浅尾慶一郎氏 Ⓒ文藝春秋

2025年度は6億円……予算は足りない

 そのために具体的には何をするのか。最後にそれを述べましょう。

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 第一にすべきことは、すでに述べたように、クマの生息域と人間の生活圏の間に数キロにわたる「緩衝地帯」を設け、そこに生えている木をできるだけ伐採し、見晴らしの良い草原などにすることです。

 国の予算におけるクマの対策費は、2025年度の6億円(前年度補正予算との合算)から大幅に増える見込みですが、「自然の管理」を全国で行うにはそれだけでは到底足りませんから、できるだけお金を使わない方法で、クマ対策を実施していく必要があります。その知恵を絞るために環境省が中心となって、昨年10月からクマ被害対策等に関する関係閣僚会議を設けました。

 緩衝地帯を設けるコストを下げるためには、そこで収益を上げる仕組みを作ることが鍵になります。

※この続きでは、緩衝地帯のコストを下げるためのアイデアを浅尾氏が語っています。約7000字の全文は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2026年4月号に掲載されています(浅尾慶一郎「クマ退治3つの解決策」)。

文藝春秋

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クマ退治3つの解決策

出典元

文藝春秋

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