介添えする相手に合わせた工夫

――書いていくなかで、特に難しかったところはありますか。

有馬 難しかったのは、やはりリハビリの工夫でしょうか。介添えする相手に合わせて、工夫をしていく。たとえば足をひどく痛めてしまった人に、どうすれば楽しんでリハビリしてもらえるのか。頭の働きが鈍くなっている人に、どうすれば楽しんで頭を使ってもらえるのか。

 なかなか難しいテーマでしたが、お海の立場になって、特別な資格や医学の知識がなくてもできるような、かつ相手と楽しみながら取り組めるリハビリの方法を、調べたり考えたりしてみました。

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 第一章では、お海が鳳仙花の爪紅(つまべに)を、介添えしている大内儀・サチにしてあげて喜んでもらいますが、女性はいくつになっても、身だしなみを整えると嬉しいですよね。

――第二章のサイコロ飛ばし、第三章の草木染めや野菜染め……次は何だろう、と読むほうもわくわくしました。有馬さんの作品には、美味しそうなお料理がたくさん登場しますが、今回お海が作るのは、主に病人食ですね。特に工夫をされたところはありますか。

有馬 お海が、介添えする相手の病状に合わせて、それに効果がある食べ物を使った料理を考えるということですね。第一章では、物忘れがひどくなってしまった大内儀が相手ですので、物忘れに効果のある蕎麦粉を使った料理を考えたり。母乳の出が悪い女性に、薬草を使った料理などを考えるのは、楽しかったです。

 病人食の場合は、出汁が決め手になるでしょうね。私もレシピを見ながら、実際に作ってみたものがありますが、蕎麦掻きは手軽に作れるのでおススメです。逆に普段自分が作っているものを、小説に登場させることもあります。

第三章でお海は、柚子や蜜柑の皮を使って染め物をしてみませんかと、産後で体が弱っていたお冬に提案する。 写真:hokpbe/イメージマート

――「介添えお海」シリーズを通して、読者の方へのメッセージがあればお願いします。

有馬 介護は、誰でも、いつか必ず直面する問題でしょう。介護をする側もされる側も、どうしても辛くなることってあると思うのです。でも、どうせなら、少しの工夫で、楽しみながら笑顔で支え合っていきたいですよね。楽しむことが、心と身体によい影響を及ぼすこともあるでしょうから。そのような思いを込めて、書かせていただきました。

 介護の結果がたとえ“別れ”になったとしても、介護ができたこと、介護をしてもらったこと、両者の思いはずっと残り続けるような気がします。

――最後に今後のご執筆の予定を教えていただけますか。

有馬 年内にほかにも新しいシリーズがいくつか始まります。読者の方々のお心に寄り添える作品を書いていけますよう、努めて参りますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

 介添えとして一回り成長したお海ちゃんとも、また会えるといいですね。

――楽しみにしています! ありがとうございました。

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