母を介護してみて分かったこと
――デビュー以来、数々の人気シリーズを発表されてきましたが、有馬さんが描く女性主人公、ひたむきでたくましい人が多いように思います。そういった女性に憧れる気持ちが、強いのでしょうか。
有馬 私が描く女性って、そのようなイメージなのですね! どちらかというと、お人好しの女性が多いように思っておりました。自分に弱い面がありますので、逞しくて前向きな女性に憧れる気持ちはありますね。マイナスなことが起きても、それをバネにして突き進むというのが私の理想なので、キャラクター造形にも表われているのかもしれません。
キャラクターを設定すると、ヒロインになりきって書いてます(笑)。時代小説だと、若い主人公でもどこか落ち着いているところがあるし、明らかに現代の若者とは違うので、かえって書きやすいですね。
――今回の主人公・お海は介添えという設定です。介添えする側とされる側、それぞれに思惑やためらいがありながらも、徐々に距離が近づいていくところが、とても読みごたえがありました。非常に現代的なテーマでもありますが、有馬さんご自身は介護の経験があるのですか。
有馬 私自身、母の介護の経験があります。母は、くも膜下出血で倒れて、一時は回復したのですが、数年後に再び具合が悪くなってしまい、最後は寝たきりでした。作品に書いた、お海が介添え相手にしているようなことは、その時にすべて経験しました。
第四章で、お海が、寝たきりになった大殿の次男に言うセリフで書いた、「おっ母さんはきっと、赤子に返ってしまったんだな、ならば今度は私がおっ母さんになって、面倒を見てあげたいと思ったんです。役割が交替しただけなんだ、って」というのは、私がその時に実感したことです。若い頃はいろいろ煩かった母が、歳を取り、無邪気に私に甘えてくる姿はとても可愛かった――自分が思ったことを、そのまま書きました。
ヘルパーさんに手伝ってもらうこともありましたが、熱心に務めてくださって、本当にありがたかったです。この作品には、ヘルパーさんたちへの感謝とリスペクトも込めています。
