知識や経験の浅いカウンセラーにしてみると…
スクールカウンセラーの労働条件として特徴的なのが「一人職場である」という点です。
病院や福祉機関などであれば複数のカウンセラーが勤務していることも多く、先輩カウンセラーから指導や助言をもらいながら成長していく……という展望をもちやすいのですが、スクールカウンセラーではそうした一般的なイメージが当てはまりません。知識や経験の浅いカウンセラーにしてみると不安を感じるところかもしれませんね。
ただ、悪いことばかりではなく、「自分でカウンセリングの場を設えることができる」という体験は一人職場ならではです。学校にはさまざまな備品(椅子や机、事務用品、机やソファにかける布、使っていないカーテンなど)があります。それらの使用許可を校長先生からもらった上で、カウンセリングを行う部屋に工夫を加えていくことができるのです。カウンセリングにおいて環境は重要な要素ですから、それをある程度調整できることは利点です。もちろん、いま現在カウンセリングの部屋を使っている子どもが戸惑うほどの急激な変化にならないようにすることも大切です。
カウンセリングでは、さまざまなものが子どもに影響を与えています。たとえば、海外の風景が描いてある絵葉書がカウンセリングの場に置いてあると、子どもによっては「遠くに行きたい」「こんな場所に行きたい」と話題になることがあります。こうした発言の奥には、現在の状況の苦しさやそれを投げ出したい気持ちなどが控えていることがあります。また、子どもの語る「遠く」が、子どもの現実とつながっているか否か(たとえば、韓国のアイドルが好きだから韓国に行きたいのか、自分のことを知る人が誰もいない遠くに行きたいのか)によっても、その心象風景は異なることがわかるでしょう。
カウンセリングの場を構成するものは、すべてがカウンセリングの一部です。大切なのは、その一つひとつがカウンセラーからのメッセージになり得ると自覚し、カウンセリングの場を設えていく意識をもつことです。スクールカウンセラーという仕事は、「カウンセリングに影響を与えている因子を把握する」「カウンセリングの場を細やかに構成する」というセンスを磨く上で絶好の場と言えるでしょう。