子どもが示している心理的不調の成り立ち、見通し、どうやって支援していくかなどについて、さまざまな工夫が求められるカウンセリング。学校現場での心のケアを行うスクールカウンセラーは、どのような心構えで子どもたちと接しているのか。
ここでは、スクールカウンセラーでいじめ第三者委員会にも所属する藪下遊氏の著書『スクールカウンセラーは何を見ているのか』(ちくまプリマー新書)の一部を抜粋。現場の声を紹介する。
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子どもへのカウンセリングの前提
子どもが示す心理的不調によってカウンセリングの方針は千差万別ですから、一概に「こういうカウンセリングをやります」とは言えないものです。なので、ここでは子どもへのカウンセリングにおいて広く大切にすべきこと、多くの事例において当てはまりやすいことを挙げるに留めておきます。
(1)子どもを弱い存在と見なさない
スクールカウンセラーは、松葉杖のような存在でいることが大切です。松葉杖がないと歩けないようなときもあるが、治ってくれば不要になり、自分の足で歩くことができる。そうやって「自分が不要になるくらい、子どもが心理的に安定・成長する」ことを目指して関わるのが、スクールカウンセラーの姿勢として適切です。
たとえば、ずいぶん心理的不調が改善した子どもが、カウンセリングを「友だちと遊ぶ」という理由で休むということは、もちろん見立てによりますが、好意的に捉えられる場合も多いです。心理的安定が高まったことで「こころの作業」の重要度が小さくなり、友だちという「現実の関係」を重視し始めた可能性があるのです。こうした状況でスクールカウンセラーは、子どもの改善の結果として自分から離れていくことを喜びつつも、何か困難があれば再訪を妨げない態度で接することが大切になってきます。
